すべての夢のたび。

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『さようなら』観てきた


石黒教授制作のアンドロイド、ジェミノイドFが映画に出演ということで関心を持ったのですが、ストーリーの方も「原発事故で国土が汚染された日本人が難民となって世界に散っていく」という設定でこちらも興味深いものでした。

ストーリーは事故後の世界です。事故の原因等は描かれません。各国が日本人の受け入れを開始し、抽選で順番に日本から避難していく。政府は否定しているけれどなんとなく抽選には優先順位のようなものがあり、主人公の女性(南アから来た白人)はなかなか順番が回ってきません。町からはどんどん人が消え、店は営業しなくなり、電気も途絶え、郵便も届かなくなる。滅びゆく日本に取り残される、という状況が淡々と描かれます。

面白い、というような映画じゃないです。風景は美しく(どこで撮ったんだろう?)、音楽も綺麗で、カットが長回しで間が多い。でも実際事故があって住めなくなったらこんなだろうなぁ、という感じはすごくありました。

ジェミノイドFは以前に舞台で見たことがあるのですが、その時よりもアンドロイド臭が薄れているように感じました。それがいいのかどうかはわかりません。人間に見えたというか、人間がアンドロイド役をやるのではなくアンドロイドがアンドロイド役をやるということの意義ってどこにあるんだろう、というのがよく解んなくなってくる感じ。もしかしたら意義は映画の外側にあるんだろうか。最後のほうで人間がアンドロイド役をやってるシーンがある(ジェミノイドFにはできない動きをしている)のですが、そこはもうほとんど人間の動きになっちゃってるというか、アンドロイドを演じきれてないってふうで、使い方の難しさを感じました。

難民が世界的に問題になってる中で、難民になるってこういうことかなー、と考えさせてくれるのはよかった。でも、作品が問題にしている生と死のようなことがらについては、ぼくがすでにいっぱい考えてしまって独自の見解みたいなものを持ってしまっているためか、あんまりピンとこない、ということだったのかもしれません。あ、一ヶ所、主人公とアンドロイドの会話でちょっといいなと思うシーン(ゾクっと来た)はあったのですが、ネタバレ回避のため書けません。

しかし「主人公」って書いてるけど最後は死んじゃってアンドロイドが残され、その後はジェミノイドFの演技だけが続くので、じつは主人公とかいういいかたも適切ではなさそうですね。