すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

なぜ死んではいけないのか?

中島義道という哲学者のひとがいて、
この人の本は面白いので、過去に何冊か読んだ。

新刊を見かけたので、手に取ってみた。
オビ(裏側)の言葉。


なぜ死んではいけないのか。答えは唖然とするくらいない。なぜ自殺してはいけないのか、ぼくにはわからない。生きていることが辛い、これからますます辛くなるだろう、ときみは言う。そのことはどこまでも真実だから、「そうではない」とぼくは言えない。ぼくはただ沈黙して、きみが死なないことを祈るだけだ。なぜか。なぜならぼくが悲しいから。そうだ、それだけなのかもしれない。それで十分ではないか。きみが死んだら、ぼくは悲しい。だから、死んではいけないのだ。


なんて胸に迫る。すごい。と思ってレジへ持っていってしまった。
本のタイトルは『どうせ死んでしまう……』  ……。
ちなみに表側のオビの文は手書きで、こうだ。

「先生。
 どうせ死んでしまうのに、
 なぜいま死んでは
 いけないのでしょう?」


この人は、なんだか大変そうだ。
死ぬコト、特に「自分が死ぬこと」のコトばかりを常に考えて、
そういったコトばかりを書いた本をいくつも出している。

『ひとを<嫌う>いうこと』
『孤独について』
『人生を<半分>降りる』
『働くことがイヤな人のための本』
『私の嫌いな10の言葉』
『生きにくい……』
『ぐれる!』
等々、ふつうのタイトルの本もあるけれど、
そうではないのを列挙してみた。どういう人か知れると思う。
……私も半分以上降りてますが。

死についての考え方は、中島氏と私では異なる。だいぶ。
にも関わらず冒頭の言葉はなんでこんなに響くのか。
死んだら悲しむような誰かが、私にもいるということだろうか?