読了ですー。おもしろかったー。ひさしぶりにヘビィなSFを読みましたよー。
万物理論ってのは、じっさいにこのセカイでも探されている、宇宙における全ての自然法則を説明できる単一の理論のことです(統一理論って言った方が通りがいいのかな?)。この本では万物理論を唱える物理学者が3人出てきますが、その中でいちばん「ホントらしい」理論を提唱する20代女性ノーベル賞受賞物理学者ヴァイオレット・モサラのセリフ。
「わたしは、あえてむずかしい立場をとって、こう宣言する必要があると信じているわ。確率はまるで問題ではない、と。仮説上の他の宇宙の集合は忘れて。ビッグバンを微調整する必要も忘れて。この宇宙は現にこうして存在しているのよ。わたしたちがここに存在する確率は100パーセント。わたしたちはそれを前提としなくてはならない。その確実な事実をうまく隠せる仮定を考え出そうと懸命になるのではなくて」
これが、この本のストーリーぜんたいを支える万物理論のアイデアです。ここ読んで、やった!って思った(いや「キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!」かなw)。だってこの発想は、わたしがまえ書いた『やさしい世界論の書きかた』の考えと根本の部分で変わらないから。「なんでそうなってるのか皆目わからない、ありえないほどの偶然を前提に宇宙を考える」んじゃなくて、「そんなこと言っても実際もうあるじゃん宇宙、そっから始めようよ」って立場。
もっとも、著者のグレッグ・イーガンがこの本を書いたのは10年も前です。でも、おんなじところに辿り着けたってのは嬉しいですよ。それはこれが奇異な発想じゃない(=ナカマがイルかもシレナイ)ってことですから。まぁもっともイーガンのアイデアはここから更に激しく暴走しまくってもの凄いことになってるんですが(笑)。そのあたりは読んでのお楽しみで。
- 作者: グレッグ・イーガン,山岸真
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/10/28
- メディア: 文庫
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