すべての夢のたび。

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ほんとにぼくのでいい?

ARTIFACT@ハテナ系 より 2chスレ発祥の『骨髄ドナーに選ばれちゃいました』

えー、そんなんで本になるのかー、と。

この中では、骨髄提供者に選ばれた「鉄」氏が、最終同意をしてから実際に骨髄を提供するまでを同時進行で詳細にレポートしています。そしてその書き込みに触発されて、かつての骨髄提供者や今現在骨髄提供を待ち続ける白血病患者、骨髄移植に携わる医療関係者などが、骨髄移植のあるべき姿やボランティアに対する心構えなどについて、本音で議論しています。


うわ、やばい。「あるべき姿」とか「心構え」とか。あれですか、心構えのあるドナーから移植した骨髄のほうが根付きがいいとかですか?

ぼくがドナーやるときは、コーディネーターの人に「ホームページとかに、ドナー個人が特定されるような情報を書かないでくださいね」って言われたんですよね。2chなら匿名だから問題ないのでしょうし、「2chである」こと自体が本のウリになるんでしょう。以前に書いたドナー体験記事にリンク張って終わろうかと思ったんですが、読み返すとなんか気持ち悪いくらい痛い文章だったので、要点を書き直します。(4年近く前の体験なので、情報は古い場合があります)


◆休暇を取りやすい仕事の方がいいぞ!

ドナー登録のときの血液検査、ドナーになることが決まってからの検査、最終同意書のサイン、手術前の検査2-3回、入院して骨髄採取手術、退院後の検査など、とにかく平日に病院に行くことが多いです。検査の日にちは調整付きやすいけど、手術の予定日は患者さんの容態とかの都合で急に前後したりします。ぼくの場合も、予定日決まって休み取って、直前に1ヶ月くらい伸びました。もっとも、職場も、「骨髄ドナーやるんで!」って言って休む人、止めにくいでしょうけどね。

◆身内への根回しは大事だぞ!

白血球の型が合う患者が見つかり、提供の意志があることを伝え、詳細な血液検査が終わると、「最終同意書」というのにサインをすることになります。患者さんは骨髄移植に向けていろいろ厳しい処置(致死量超の抗がん剤投与!と放射線照射!)を受けるので、提供側が途中で「やーめた」って投げ出すことは絶対許されないわけです。で、弁護士立ち会いのもとで、医者が再度、骨髄移植手術の提供者側の危険性なんかを説明し、同意書にサインします。近親者1名のサインも必要なんですが、ここで身内(奥さん)が反逆するわけですよ。納得してたじゃんアンタ、とか思うんだけど、やっぱり全身麻酔で何万人に1人くらいは帰らぬ人となる、と聞かされると、えー、と思うんでしょうね。でも保険1億出るしいーじゃない、とか、あとで服買ってあげるから、とか、テキトーになだめすかして(もちろんこの時は、医者弁護士コーディネーターは部屋から退出いただいてます)、納得させました。

◆患者さんのことはなにもわからないぞ!

「公平を期す」という目的ですが、日本の骨髄バンクは非常に閉鎖的です。最終同意前には患者さんのことはなにひとつ教えてもらえません。というか、同意しても「年代と性別と居住地」くらいしか聞けませんが。まぁ「10代の女性」とか「50代の男性」とか事前に聞いちゃったら、気も変わるかもしれませんしね。そして、手術後も、患者さんのことはわからないのです。移植手術が成功したのか、しばらくして生きてるか死んでるか(5年生存率は意外と低いです)というのも教えてもらえない。だからまぁ、ドラマティックが欲しいひとは脳内で補完する必要があります。

ただ、手術前に骨髄採取量を教えてもらうのですが、必要な骨髄の量は患者さんの体重で決まるんですよ。ぼくの場合は、採取量から逆算した患者の体重からみて、年齢は1歳!としか思えなかった。これ、事前に聞いちゃったら、やっぱり「ここで引けねえよ……」と思いますよねぇ。両親の年だって自分と同じくらいのはずで。でもそういうことを思うならもっと自分の身内にも気を遣ってやれよ、というのもあるんですが。

◆手紙がくるぞ!(こないかも?)

でも、手術後1年以内に2回だけ手紙のやりとりを行えます。ただし、お互いを特定できるような情報は書けないし、患者さんの容態も書けないし、物品はだめ。ぼくは母親?からお礼の手紙をもらいました。ここまで来て、やっと自分がしでかしたことに少し気づいたというか。ぼくはブログにもよく書くように「別に死んでもいい」とかふだんから思ってる人なので、移植手術に関しても「死ぬる時は死ぬる也。保険金1億円也。」とか思って挑んだわけで、ほんのできごころというか、感謝されるいわれなんぞねえ!って気分でした。もし患者さん側が「この人は自分の危険もかえりみず……」とか考えちゃってたりしたら、ほんと申し訳ないですよね。こっちは「入院してる間に本いっぱい読もう」なんてノリだったんですから。そんなふうで、返事は書けませんでした。掛けてあげられる言葉の持ち合わせがなかった。


まぁ、こんなドナーもいます、程度にみてください。骨髄バンクへの登録も、献血くらいカジュアルになればいいんじゃないかと個人的には思いますけどね。どうせ、登録してもドナーに選ばれる人は40人に1人くらいです。登録者数が増えるだけでも患者さんの希望になるのは間違いないので、してみてくださいよ、と。おぉ、綺麗にまとまったぞ?


追記:採取手術はこんな感じだよーってのを書きました。


骨髄ドナーに選ばれちゃいました

骨髄ドナーに選ばれちゃいました