すべての夢のたび。

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小説を書くとはどういうことか

書きあぐねている人のための小説入門

書きあぐねている人のための小説入門


読み終わりました。ぼくは作家志望ではありませんが、文章を書くこと自体は好きなので、参考になるかと思いときどきこの手の本を読みます。これは、薦められる本だと思う。『言語表現法講義 (岩波テキストブックス)』『プロ編集者による文章上達秘伝スクール』に続く3冊目の、モノカクヒトに薦めたい本。

でもこの本は、薦めたいのだけど、多くの人には何が書かれているのかちゃんと理解はできないのではないかと思います。すごく、小説について、突き詰めきったところから書かれている。そういうふうな、力をふりしぼって考える、というのがどのようなことなのか知っている人でないと、わからないのではないか。そんな気がします。

だいたいこの本で小説と言われているものは、世間で言われているそれと相当違う。もちろん保坂さんはこれこそが小説だと考えているのでしょうが、曰く「小説にストーリーはいらない」「風景をできる限り詳細に書け」「ネガティブなものを書くな」「社会問題を書くな」「結末を決めて書くな」「テーマはいらない」「読んだ後あらすじを言えるようなものはだめだ」「手直しするな」……というふうで、つまりこれは大塚英志氏の『物語の体操―みるみる小説が書ける6つのレッスン (朝日文庫)』や『キャラクター小説の作り方』の正しく対極に位置するようなアレで、要するにこれをいくら読んでもラノベは書けねーよと(一般に小説と言われるものの大半を、保坂さんは「ストーリー小説」と呼ぶ)。小説の世界に新しい何かを持ち込み、領土を拡げるものだけがほんとうの小説だ、ということです。

でも「ものを考える」力は付くと思う、この本で。というかこの本は小説を極めすぎて「生きること」に近づいちゃってる。まぁ、なんでも極めると結局そっち方面に近づくもので、だから職業は違っても極めた者同士なら話が通じるのだ、と思う。そして実は保坂さんの本は『世界を肯定する哲学 (ちくま新書)』と『小説の自由』とこれを読んだだけでまだ小説は一冊も読んでないワタシですが、申し訳ないのでこんど『プレーンソング (中公文庫)』を読んでみようと思います。