すべての夢のたび。

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幸福とはなにか?

幸福とは、「現在の自分が幸福であると知っている状態」のことです。それは、外部から規定されるものではありません。なぜなら、「あの人は幸福であるはずなのに、自分ではそれを知らなかった」ということは、有り得ないからです。

他人から見てどれほど「幸福に違いない」と思われるような環境にいたところで、本人がそう感じていないのならば、そこに意味はありません。そのような状況はただ単に「幸福ではない」という、それだけのことです。マッチ売りの少女の死に顔に微笑みがあったのなら、彼女は幸福のうちに死んだのであり、そこで「幸福ではなかった」という発言を行うことは、彼女に対して失礼であるばかりか、自分が幸福のなんたるかについてまったく知らないことを露呈してしまっていることになるのです(彼女の人生ぜんたいについて「不幸だった」という発言は有り得るかもしれませんが)。

ですから、「幸福とはなにか?」と問われたとき、その問いが「〈わたしの〉幸福とはなにか?」を意味するものであれば、それに答えることはできません。それは問うた本人以外は知り得ないものであり、他人が教えることは決してできない。そういうものなのです。ただひとつ言えるのは、「そのような問いを発する人間は現在幸福ではない」ということです。実際に自分が幸福であるならば、自分の幸福とはなにかを知っているわけで、こういった問いを発する必要はないはずですから。

「幸福とはなにか?」と問う人にそれについて教えるのは、生まれつき目の見えない人に「光とはなにか?」を教えるようなものです。このようなものである、という程度は言えるかも知れませんが、ほんとうのところは、自分が経験してみる以外にそれを知る方法はないのです。