すべての夢のたび。

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「なにが欲しいんですか?」

自己啓発セミナー - Wikipedia


セミナー中では、よく「ダイアログを組んでください」と言われました(ダイアログは日本語では「対話」です)。そう言われると受講生は手近な人と2人組になり、椅子を向かい合わせに置いて座ります。膝と膝の間は20-30cmくらい、とても近いです。で、ファシリテーターから、「さぁ、今のセッションで得た気づきをお互いにシェアしてください!」(←すごくセミナーぽい言い回し)などと言われます。相手はいろいろです。自分と同年代の同性、異性、おじさん、おばさん、時にはもっと上の人。気弱そうな人。頑固そうな人。水商売の人。学校の先生。社長さん。でもこの場ではみんな対等です。

ここでは話し手は、相手の目をちゃんと見て正直な気持ちを言葉にすることが求められます。聞き手も同じよう話者の目を見、相手が喋っている間は自分の意見等を挟まずにきちんと聞くこと、とされています。そういうのはなかなか難しいと思われるでしょうけれど、「ダイアログ」は、(一般に)3段階あるセミナー中では最初から最後まで割と頻繁に用いられるため、たいていの人は慣れてしまい、そのうち言葉がすらすら出てくるように、聞くときも集中して聞けるようになります。

「では次の人とまたダイアログを……」などと言われ、相手を交代して繰り返し、数人と意見を述べあうこともあります。「ダイアログ」はそのような目的に使われることが多かったように思います(もちろん最初からグループで話をすることもあります)が、時には「ダイアログ」すること自体が目的である場合もあります。


「なにが欲しいんですか?」というセッションがありました。


「ダイアログ」を組み、聞き手と話し手を決めます。そして、聞き手からまず話し手に「なにが欲しいんですか?」と問いかけます。話し手は、とりあえず、自分が目標としていたり、これからやろうとしていることを言います。いま関わってるプロジェクトを成功させたい、旅行にいきたい、売り上げをもっと大きくしたい、スポーツの記録を伸ばしたい。なんでも構いません。聞き手は、ひととおり聞いた後、また「なにが欲しいんですか?」と問いかけます。話し手は、先に話したことがもしうまくいったなら、どうなるのか、それを話します。プロジェクトがうまくいったらわたしはこうなります、云々。そしてまた聞き手が問いかけ、話し手が答える。そうなれば、こうなります。これを何度も繰り返します。

と、ある瞬間、ほんとうの答えに辿りつくわけです。なんでそれが本当とわかるのかというと、気付いた話し手が泣くからです。なんだ、そうだったんだ、と解って、自分の口からポロリと出てしまった言葉に対して涙をこぼす。それは大抵、卑近でつまらない答えです。もしそうなれば、父に認めてもらえるとか。お母さんに褒めてもらえる、褒めてほしかったとか、わたしはみんなに「すごいね」って言って欲しかったんだ……とか、そんなようなものです。だいたい、みんなそう。たとえ最初に言った目標がどんな遠大なものでも、どんな社会的で立派なことがらであっても、なんでそうしたいの?そうなりたいの?を突き詰めていくと、だいたいおなじあたりに辿りつきます。

ぼくはそういうのを、いい大人が「褒めてほしかった」とか言いつつべーべー泣いたり、話し手聞き手が一緒になって泣いたりしてるのを見てきています。なので、なんかよくわからないことに一生懸命になってる人を見ると、つい、「この人はなにが欲しいんだろーなー」と思ってしまうのです。わかってんのかなー?と。わかってやってるんなら、いいんですけどね。(ただし、稀には、空っぽの人もいます)


ちなみにこれ一人でやるのは難しいと思います。なかなか、そうみんな自分に素直にはなれない。と言っても、こころを開けてヒミツ厳守でいてくれる相手なんてのも、そうそう見つかりませんけどね(セミナー中は受講者同士の空気は割と親密だし、「個人情報は漏らさない」という誓約もするのです)。相手と向かい合っているうち、深く意識しないまま思わず口にしてしまう、引き出されてしまうというのが、ポイントなんじゃないかと。