すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

現存し得るほぼ最悪の生

ベルギーの男性Rom Houbenさんは1983年に車の事故に遭いました
昏睡状態にあると診断されましたが、彼は完全に意識があったのです
家族や医者が話すこと全てが聞こえていました
彼は事故に遭って目覚めた時、何かがおかしいと感じました
「私は叫びました、しかし声になりませんでした」
医者や看護婦が彼に話しかけ、そして希望を捨てるのをじっと聞いていました
彼はずっと夢を見て過ごしました
神経科医が昏睡していない、ただコミュニケーションを取れないだけだと
気付くまで20年以上も・・


意識はあり、全身は麻痺して動かせないまま、23年間放置されたと。これはちょっと、考え得る最悪の状態にほぼ近いですね(最悪は、これで更に耳も聞こえず他の感覚もない状態)。しかし脳波くらい計ってやれよと思いますが、23年もあったのに。

しかしよくこれで、23年の間に精神に異常を来すことがなかったな、と思います。いったいどんな気持ちでずっとベッドの上にいたのか、想像するとくらくらしてくる。こうなるのと、同じ期間刑務所へ入るのと、どっちか選べって言われたら喜んで後者を選びますね。いや死刑でもいいですってくらい。多分、耳が聞こえていたことが刺激になって、精神状態を正常に保てたのではないかと思います。外部からの入力が何もなかったら、無理ですね。脳が萎縮してしまうかもしれない。

でもこのお話の一番の闇はもしかすると、この人本人より、このことに最初に気づいた人の心の内にあったのじゃないかって気がします。植物人間のようにただベッドに寝ていたままだったこの人が、実は23年もの間ずっと意識があったのだ、という可能性に思い至ったとき、背筋が寒くなるとかゾッとするとかいう言葉では言い表せないような戦慄が走ったのではないかと思うのです……。