すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

死刑はアリ、かな

先日、民主党の千葉法相による、政権交代後初の死刑執行があり、ずいぶんと話題になりました。その時ぼやーと考えていたことをちょっと書いてみます。

ちなみにぼくは、以前は死刑反対派でした。理由は、如何なる事情であっても人を殺すのは良くないことだからとか、そういったナイーブな正義感から来るものが主だったと思います。他には、冤罪の可能性を排除することはできないからとか、更生の機会を奪うから、というものもあったと思います。


更生の機会を奪う、ということについて。要は、もしかして反省して真人間になるかもしれないのに、殺しちゃっちゃあそれもないべ?ということです。しかし、このような証言があります。

務めてみてすぐに気が付いたのは、長期刑務所の受刑者達の時間に対する観念の特異性でした。
「一〇年なんて、ションベン刑だ」
「十二、三年はあっという間」
「十五年くらいで一人前」
「早いよ、ここの年月はさあ。こんなもんなら、あと一〇年ぐらいの懲役刑なら、いつでもいいね」
「考えていたのと全然違ったよ。こんなに早く時が過ぎるとはねえ」


小飼弾さんがブログで『死刑絶対肯定論』という本を紹介されており、上の引用部はそこからお借りしました。この本の著者は"現役の"無期懲役囚です。自分と同等の長期刑を受けている人たちを、隣で観察しながら書いていて、それが、この有様なわけです。本の第一章のタイトルは「ほとんどの殺人犯は反省しない」です。


冤罪の可能性を排除できない、ということについて。確かにそうです。しかし、現在日本にいる死刑囚の数は、たったの107人です(先週までは109人でした)。ここに、冤罪により、ほんとうはなにもしていないのに死刑執行を待っている人が、さて何人いるでしょうか? 多くは、というかほとんどの人たちは、実際に人を殺し、そのことによって死刑の判決を受けているのだと思います。けれども冤罪の人もおそらくはいるでしょう。そういう人をどうするのか。ぼくの答えは「仕方ない」です。

仕方ないので諦めて頂く。そうなります。「もしかしたら」を過剰に考慮することはできない。例えば交通事故の可能性を排除できないうちは自動車を走らせるわけにはいかないとか、そんなふうにはできないし、世の中そうはなっていない。みな、事故が起きうることを了解した上で、車を運転したり、横断歩道を渡ったりしているわけです。そして誰かが冤罪で死刑になる可能性は、おそらく交通事故で死ぬそれの1/1000くらいでしょう。人は、冤罪を心配するより、左右をより良く見てから横断歩道を渡るべきです。


如何なる事情であっても人を殺すのはよくない、ということについて。これはまぁ、命そのものに価値があるのだとか、そういったところから来ているんだと思われます。ぼくはそうは思いません。生きていてもしょうがないような命はあるし、時と場合によっては誰かの命を奪ったほうがいいこともあるだろうと思います。けれど、命そのものに価値がある、という考え方を否定するものではありません。

しかし否定はしないけれど、そのことから「死刑はいけない」という主張は導き出せないと考えています。なぜなら、世の中、ご存知のように、毎日毎日、いまこの瞬間にも、何らかの事情で人は死んでいる、死にまくっているからです。命が大事なら、なぜ、そっちは気に掛けず、死刑を殊更取り上げるのか。ここはもう、ほんとうは個人の好みでしかない。私は死刑のことをどうしても取り上げたいのだ、ということでしかないわけです。だから、人を殺すのはよくないから、というのは、死刑反対の理由としては実はとても弱い。じゃあなんで戦争には反対しないの? 飢えで死んでるのは構わないの?ということになる。


ぼくの考え方はいま、個人よりも社会全体、感情よりも合理性、そちらを向いているのだと思います。死刑じゃなくて仮釈放なしの終身刑にしろ、という主張を見ることもありますが、それは合理的ではない故に否定されます。もう再び世に出ることがない人を飼っておく理由はないわけです。コストが掛かるだけだから取り去ってしまおう、ということです(そして世に出ないのだから反省の機会も必要ありません)。

海外(EUやアムネスティ)がどのような理由で死刑廃止を言うのか、詳しくは知りません。が、おそらく簡単に反駁できそうな理由じゃないかと思っています(死刑は野蛮だとかw)。ぼく的には別に、究極的な罰を与える為に死刑にしろ、と言ってるのではなく、死刑以外の選択は社会的にコスト高だろう、という感じなだけなので、死刑に反対する国が日本国の死刑囚を引き取ってくれて(もちろん永久に再入国はなし)、自分の国の刑務所で終身刑または類する刑に処する、ということであれば、一向に構わないと思っています。


追記:こう言っておいてなんですが、日本人の85%が死刑容認派であるというアンケート結果には、ちょっと懸念を持っています。自分を棚にあげて言いますが、もっと慎重になったほうがいいと思うw