すべての夢のたび。

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量子ゼノン効果で猫が長生き!

昨日買った『量子力学の哲学――非実在性・非局所性・粒子と波の二重性 (講談社現代新書)』に興味深い話が載っていました。みんな大好きシュレーディンガーの猫がらみ。ちょっと解説してみます。

シュレーディンガーの猫 - Wikipedia

この思考実験では、放射性物質であるラジウムがアルファ崩壊してα粒子を放出すると、ガイガーカウンターがそれを検知して毒ガスを発生させ、箱の中の猫を殺すということになっています。そして、仮にアルファ崩壊が1時間以内に起こる可能性が50%だとすると、1時間後の猫は生きている状態50%と死んでいる状態50%の重ね合わせになる、というパラドックスが起こるわけです。

箱の中を実際に覗けば、猫の生死は確定します。1時間後に覗き込めば、「生きている状態50%と死んでいる状態50%の重ねあわせの猫」なんてものが見えるわけではなくて、生きている猫が見られる可能性が50%、死んでる猫が50%なわけです。いわゆる"観測による状態の収縮"が起きるのですね。

ところで、面白いのはここからです。

ここで、箱の中を覗くのを1時間よりも早くしたとします。するとどうなるか? 直感的に言って、生きている猫が見られる可能性が上昇することが想像できますね。ひんぱんにちょこちょこ何度も覗けば、それだけ猫の寿命が伸びることと同じになる。理屈上では、無限に短い間隔で無限回箱を覗き込めば、生きている猫を見る確率が100%になります。まるでゼノンのパラドックス、"アキレスと亀"や"飛んでいる矢は止まっている"話みたいですよね。これが量子ゼノン効果の説明です。

いったいなにが起きているのか? 実験開始時にはラジウムのアルファ崩壊は起きていません。開始1時間後に起きる確率が50%です。しかし、箱を覗き込み、"観測による状態の収縮"が起きる結果、ラジウムがアルファ崩壊する可能性が50%になるのは「箱を覗き込んだ時点から1時間後」になってしまうのです。あたかもカウンターがリセットされるかのように。

そして量子力学の恐ろしいのは、これが理屈の話ではなく、実験でほんとうにそのようになることが確認されていることです。もちろん猫を使ってはいないと思いますがw 観測によって放射性物質の崩壊確率は低くなってしまう!のです。


さてここから素人考えになります。要するに量子ゼノン効果は、放射性物質の半減期に人間さまが干渉できる!と言っているわけです。しかし半減期が延びてしまうのはどうにもマズいw なんとかこの理屈をうまく使って、放射性物質の半減期を逆に短くすることはできないのだろうか。そういったことが、現在の日本にとって必要とされているのではないか……?

そんなウマい話が?と思いますよね。ところが驚いたことに、なんと「量子ゼノン効果」という言葉が存在することを、ググった結果発見したのです。逆です逆。これは……期待できそうです。というわけで、そのあたりの事情が書かれていそうな本をAmazonで注文してみました。


量子進化―脳と進化の謎を量子力学が解く!

量子進化―脳と進化の謎を量子力学が解く!

  • 作者: ジョンジョーマクファデン,Johnjoe McFadden,斎藤成也,十河誠治,十河和代
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これまでの生物学では十分に説明できなかった謎の数々(生命誕生、生物進化、脳と意識など)を量子力学で解く初の試み。難解な専門用語や数式はいっさい使わず、量子力学の考え方をわかりやすい言葉で紹介する。


よく言われる、この宇宙や生命は確率的に言って信じられないほどうまくできている、ということが、もしかしたら量子力学で説明されちゃうのかも知れません。なんだかあやしげで非常にワクワクさせられますね。