「光年」は"年"といいつつ空間の単位。光の速さで1年かかる距離を言うわけです。「地球で観測できる100万光年離れた星の光は、いまから100万年前にその星を発した光なので、いま現在はその星がどうなっているのかはわからない」みたいな使われ方をする。
以前はこういう言い回しに納得していたのですが、最近になって、これは少し変なのではないか、という気がしてきた。上の話は要するに、この地球にある時計と同じ時刻を指しているバーチャルな時計が100万光年離れた星にもある、と、そういう仮定での語りなのです。というか、宇宙全体にそういった一様な「いまこの瞬間」が浸透しているものと仮定されているかのように感じます。
しかしそれはどうもおかしいのではないか。わたしたちは確かこう聞いたはずです。相対性理論によると、光速に近い速さで移動する観測者の時間の進みは遅くなる。また、強い重力場内にいる観測者も同様、と。つまり、仮にある瞬間に宇宙のあちこちにある全ての時計の時刻が一致していたとしても、それは次の瞬間にはもうてんでバラバラ(すこしおおげさですが)の時刻になってしまうのではないのだろうか?
そんなようなことを考えているうちに、「同時」とはどういう概念なのかよくわからなくなってしまいました。で、そういうことについて書いた本はないか、となんとなくツイートしたところ、ある方より「岩波文庫のアインシュタイン本人が書いた相対性理論の本がよい」と教えていただきました。というわけで買ってきた。
- 作者: A.アインシュタイン,内山龍雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1988/11/16
- メディア: 文庫
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Amazonのレビューでもとても評価高い本ですね。訳者による論文の解説がとにかくわかりやすいらしい。結局原典にあたるのが最良というわけか。とは言え数式が出てくる部分はどうにもお手上げですので、さらにもう一冊買ってきた。
- 作者: ブライアンコックス,ジェフフォーショー,柴田裕之
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2011/08/29
- メディア: 単行本
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極力数式なしでなんかその辺のことを解説してくれてそうな本。この2冊でちょっとお勉強したいと思います。
ちなみに今日軽いショックを受けたこと。iPadアプリに『マーカス・チャウンの太陽系』というのがあるのですが、それで太陽の項を見ていたら書いてあった。太陽の中心核から発した光は、表面に出てくるまでに3万年もかかるそうです。自由電子の群れに行方を阻まれてぜんぜんまっすぐ進めないらしい。「つまり、現在見えている太陽光は、最後の氷河期に生成されたものなのです」だそうです。ああまた例の言い回しが!