すべての夢のたび。

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意識を移植する前に考えておくべきこと

ロシアの企業家ツィコフ氏は、今後10年の間に人類に不死をプレゼントできる可能性があるユニークなプロジェクトを開始した。「デイリー・メール」が伝えた。プロジェクト「アバター」は、同名のファンタジー映画「アバター」で描かれている技術を基盤としている。ツィコフ氏は「アバター」実現のために、ロボットの体に人間の意識を移植することを約束したおよそ100人の専門家らを招いた。 


こういうネタ大好きなんですけど、いっこ問題があって、「意識が移植できたとどうやって判定するのか」の基準がないことなんですよね。

まず第一に、それは外側からは判定できないわけです。まったく同じ記憶があるためにまったく同じふるまいをする他人が生成されただけ、かもしれない。特に、非破壊で記憶をスキャンできて、元の本人が生きているとしたら、どう考えればいいのか? 元のが本物? でもなぜか、意識はちゃんと新しい方に移ってて、元のは一見わからないけど実は抜け殻でしかない、ってケースも考えられる。

第二に、実は内側からだってわからない。起きてみたら、自分は意識の移植措置を受けた記憶がある。身体はいままでの自分のものと別でなんかロボットになってるけど、眠る前までの記憶は連続している。だから移植は成功したのだ……とは言えないんですよね。まったく同じ記憶を持ってる他人がそう思い込んでいるだけ、という場合がある(例として、元の身体が生きている場合はどう考えればいいのか)。いや、記憶が同じである必要すらない。自分が、「自分は○○である」とそう思い込んだら、外から否定されない限りそれは真実になってしまうわけです。


ていうか、この第二の理由、ほんとは毎日発生している。朝起きた自分が昨日と同じ自分である、って保証はなんにもないんです。寝てる間は意識は途切れてますし、その時に近所の同じように寝てる人とふらふらソレが入れ替わったりして、朝起きたらその人の身体に備わった記憶を使って、いままでと同じ人間のフリして会社に行ってるだけかもしれない。まぁ「オッカムの剃刀」的な仮定なんですけど。

この問題を解決する術はあるのか? ぼくは「ある」という立場です。すごくアクロバティックかつ詐欺的な方法で、問題を問題でなくしてしまう。でもまだうまく説明できる技術がない。ていうか、これを説明できるようになったらぼくは宗教家になれるんじゃないかと思いますがw


いわゆる意識はふたつの部分から構成されてるんじゃないかと思います。ひとつは記憶。もうひとつは、それを呼ぶ言葉があるのか知らないけど「自分が存在するという、この感じ」です。記憶しかないのが哲学的ゾンビ。「この感じ」しかないのは? 極端な記憶喪失になったケースとかどうでしょうか。自分が誰かわからない。それどころか、言葉も忘れてしまい、身体の動かし方すら覚えていない。でも、自分が存在しているという感じだけは、確かにある。そういう状況はなんとなく想像できるのではないでしょうか。