すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

意見はいらない

 目の付けどころがサイボーグなことで知られている米DARPA(国防高等研究計画局)関連のニュースがまたひとつ。今度は、人間の脳波を脳波スキャナで読み込み、視覚処理アルゴリズムと複数のコンピュータを組み合わせ、120万画素のカメラでそのイメージを出すという「コグニティブ技術危険通報システム(CT2WS)」のプロトタイプ製造に成功したと発表した


これは本質的な技術ですね。本質的に、なにか危ういものを含んでいる技術。たとえば、妊娠中の胎児のDNAを検査して生まれる前に異常を見つけるとか、義足の人はオリンピックに出ていいんだっけとか、そういう「人間とはなにか」みたいなことをあらためて問い直される類のもの。

 人間の意識下では、カメラ上に敵戦闘員の気配があったとしても、本当にそれが敵なのか判断するのに若干の時間がかかる。しかしDARPAによれぱ、人間は違和感の検出に本質的に熟達しており、意識上での認知には時間がかかっても、人間の脳自体はこうした情報を検知することができるという。


たとえばみなさんにも経験があると思うのですが、スマホでツイッターをやりながら歩いていて、向こうから誰か歩いてきて、ぶつかりそうになってハッとして、避ける。この時、ほんとうにギリギリで避けるときは、避けたあとになって、自分がいまなにをした(=ぶつかる寸前で避けた)のかということに気づきます。

つまり、脳は気づいているけど意識は気づいていない、そういうことがあるわけです。脳は周囲の膨大な情報を眼や耳や皮膚をセンサーとして取り込んでいる。でも実際に意識に上ってくるのは、それらが脳によって処理されたあとの、ごくごく一部でしかないわけです。当面不要な情報は勝手にフィルタリングされているのだけど、普段はそのことに気づいていない。

この研究は、脳を大きなシステムの一部として組み込んで取り扱う準備ができた、と、そういうものです。SFでは、人の脳だけを取り出して戦車やら飛行機やらに載せるような、そういう話はありました。それらと少し違うのは、この研究は「脳に判断を求めない」ところです。アンドロイドとか義体化とかそういうのではない。脳をただの高性能なデータ処理エンジンとして使おうというものです。

やはり「人間とはなにか」の話になります。要はこの研究は「オマエの意見なんて聞いてないよ」という話なわけです。人間性の否定ですね。意見なんていらないから、目だけ貸せよと。

一歩踏み出してしまった感じがありますね。将来たとえばこういうアルバイトができるかも知れない。顔と視線は固定されてずーっとそのまま一日中なんかを見ているだけ。でも特に何かをすることは要求されないし、何を考えていてもいい。うん、なんか最底辺って感じがします。コンベアに乗ってくる倒れたペットボトルを立てるだけとか、あれに近いなw