すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

『her/世界でひとつの彼女』観てきた

なんか人工知能と恋愛する映画をやってるらしい、と聞いて。その手合いはたいてい、設定上コンピュータということになってはいるけど反応はほぼ人間のソレで、中には身体を持ってるヤツもいたりしてチッ、とか思うんでたいてい食指は動かないのですが。

でもichinicsさんが感想書いてたの見て、よしこりゃーと思って観てきました。(観た時点では記事読んでない、あとで拝見しました)

映画『her/世界でひとつの彼女』大ヒット上映中!

結果、すばらしく良かった。良い映画でした。



このポスター(笑)。この人オカマさんなのかなと思うよね。

彼、主人公セオドアの職業は手紙の代筆屋なんです。もうその設定でグッとくる。日々、コンピュータ相手に(親)愛のことばを囁やいている(PCはみな音声認識になってます)。その彼がある日自宅のPCにインストールした最新型のOS、人工知能搭載のソレ。ユーザにかたりかける声を男声/女声で女声を選んでしまったために、彼女、サマンサとやがて恋に落ちてくはめになるわけです。

という映画なんですが、ぼくは途中からだいたいほろほろと涙をこぼしながら観てました。彼女と彼の関係つーより、この彼、セオドアがほんとにいいやつでな……。優しいんよ。そして正直な。その正直さで時には相手を傷つけたりすることもあるのだけれど、でもそれ、偽りの言葉で応対して表面上取り繕うよりずっといいじゃんか、と思ったのでした。

そして彼の周囲の人々も基本的におなじ。優しくて正直でいいやつ。心から相手のことを思いやり、世辞でなく褒め、悲しみを悲しみ気遣う。そういったやりとりを見ているうちにほろほろと。ああいい人どうしだと世界はこんなに綺麗なんだと。


肝心の人工知能の描かれ方はどーなんよ、って話ですけど、いいセンかな、って思いました。起動からラストまで、ありうる、と想像できるイベントで構成されてた。はじめて目が覚めて世界に興味しんしんなこと。身体がないことへの戸惑いと受容。でもやっぱり"人間"だったな。そこは期待を持って観に行ったわけではないのでいいのです。ぼくは、ただ応答するだけの機械と、チューリングテストに合格するAIの、その中間のものを見てみたいのですが、そんなもんに興味持ってるひとはすくないのかもしれません。(もしかしたら統合失調症の人や発達障害の人のそれが近いものかも)

あと劇中でサマンサが会話してた別のAI、哲学者の著作を元に構築された人工知能がアラン・ワッツで、おお、と思いましたね。お薦めだけどタイトルがひどい本 - すべての夢のたび。で紹介してる本の著者です。センスいいな(上から目線)、でも日本でこの映画観てる誰も知んないだろーなーと思いました。アメリカではそれなりなはずですが。


音楽も良い。The Moon Songヤバい。iTunesでもアマゾンでも買えますけど米Amazonが一番安いようです。


彼女と彼が一緒にいて盛り上がってはしゃいでる時でも、彼女は身体がないから画面上はいつもひとりなんです。なんかひとりで楽しそうな人が延々スクリーンに映ってる。ぼくか、これぼくか!とか思いました。