すべての夢のたび。

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ありのままの世界を認識するのよ

うつ病の人こそが世界を正しく認識しているという説:抑うつリアリズム理論 : カラパイア

 現在の主流はこうした見解であるが、また別の理論も存在する。「抑うつリアリズム」というものである。これは、軽度から中程度のうつ患者に限られた理論であるが、うつ状態に陥るのは「誤った」考え方のせいではなく、ただ世の中をありのままを見ているだけだというのだ。


あの映画のせいで「ありのまま」と聞くたびに頭の中で松たか子が歌い出すんですが。

 初の大規模な研究は1970年代にリン・アブラムソンとローレン・アロイによって実施された。この実験では288人の被験者に緑のライトの前でボタンを押すように指示し、何度ライトを点灯させることができたか質問した(ちなみに、このボタンとライトは全く関係がない)。この実験は4回実施されたが、どの実験でも、うつ傾向の被験者は、非うつ傾向の被験者と比べ、驚くほど点灯の回数を正確に把握することができた。


 別の類似した研究では時間経過という要素が考慮されている。その結果、うつ傾向の被験者はそうでない被験者と比べ、非常に正確に経過した時間の長さを把握していた。


 さらに別の実験では、被験者にさまざま作業を課し、その出来を自己評価してもらった。結果は同様に、うつ傾向の被験者の評価は、甘く評価しがちな非うつ傾向の被験者より正確であった。


 最後の実験では、被験者はいくつかの社会状況について評価し、その原因が内部からのものか、外部からものか判断するよう求められた。ここでも非うつ傾向の被験者が良い結果は内的要因に帰属させ、悪い結果は外的要因に帰属させがちだったのに対し、うつ傾向の被験者は因果関係をより的確に判断している。


うーむ。これらの実験から「うつ傾向の人のほうが世の中を正しく見ている」と言ってしまうのは、若干飛躍があるような気もしないでもありません。実験結果を「ありのまま」に捉えるなら、うつ傾向の人は、数を正確に数えられ、時間を正確に把握でき、自己評価が甘くない、そんな傾向があると。ただそれだけではないでしょうか。

不思議なのは「ありのままに世界を認識すること」と「うつ傾向」がなぜ関連しているのか、ということです。だってふつうに考えてみればいいと思います。世界をありのままに認識することから通常想像される結果は「なんの感情も起こらない」じゃないですか? だってありのままなんだから(笑)。偏りなく世の中を見つめることができれば、喜びも、悲しみも、起こらない。起こるはずがない。それが「ありのままの認識」じゃないでしょうか。

でももし、ありのままの世界が「とくになんもなし」じゃなくて実は「悲しみ」だとしたら? 世界をありのままに認識した結果が悲しみであるって……それって仏教じゃん!(笑) そうかー、お釈迦様は抑うつリアリズムの人だったのかー。うつ傾向の人はお寺に行くといいかも知れませんね。そういや色即是空・空即是色なんてことばも「ありのまま」っぽいですね。