すべての夢のたび。

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進化に奇跡は必要ない

進化の謎を数学で解く

進化の謎を数学で解く


この本読み終わったんですけどね、なんかこう、感想が書きにくい。結局どういうことなの?ということが言いにくい。何かに例えるようなことができないので。ああそういうことね、という納得のしかたがしにくい。あたらしい考え方を導入しないといけないような気がする。

新しい種が生まれた時、なぜそれが古い種にとってかわるのか? ダーウィンは、それを「自然淘汰」という考えで説明した。環境の変化に適応できない古い種は淘汰されていく、それが「進化」なのだと。しかし、では、どうして都合よく、新しい環境に適応した新しい種は生まれるのだろうか? ダーウィンがどうしても解けなかったのが、その「最適者の到来」の謎だった。5000次元の組み合わせを解くことのできる数学とコンピューターが、「最適者の到来」の道筋を解きあかしつつある。


タンパク質だろうが遺伝子だろうが、組み合わせの数は「天文学的」数字すらはるかに超越するようなバリエーションを持っており、その中の一部である"うまくいく組み合わせ"でさえ十二分に天文学的な数が存在している。その膨大な可能性の中の、ほんのわずかな一部が、実際に世に現れる。だからそれは、奇跡でもなんでもない。最適者の到来は必然の出来事に過ぎない。

目のような複雑な器官がどうやってできるのか?という、いままでそこに感じていた神秘性に対して、実はそんなのふつうに起こることなんですよ、というのがこの本の言っていることです。簡単には受け入れがたい。どうしてこんな奇跡が起こるのか?という問いの答えをずっと探し続けてきて、辿り着いたところが、仮定が間違ってました、それは奇跡でもなんでもありませんでした(笑)という身も蓋もなさ。

そしてこの考え、進化に限らず広い範囲で適用可能なのかも?ということを著者がほのめかしています。この宇宙がこんな宇宙であることも、生命の誕生も、"わたし"の存在すらも、なんの驚くべき要素もそこには存在せず、ただのありふれたできごとのひとつであるのかも知れません。