すべての夢のたび。

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アイ・イン・ザ・スカイ観てきた


例によって、ポスターだけでなく日本版は予告編もクソダサなので北米版トレイラーを貼ってみましたが、2015て。日本で公開するまでに2年近く掛かってんのかよ……。

さてこの記事はネタバレありです。でも読んでから映画観に行っても得るものが薄れるとは思わないので大丈夫です。


この映画は、ワンアイデア、ワンシチュエイションです。アイ・イン・ザ・スカイとはドローンに付いてるカメラのことです。テロリストをドローンからのピンポイントミサイル攻撃で殺す話です。殺そうとする時に一般市民がそばにいたらどうするかって話です。つまり、トロッコ問題の映画化です。シン・ゴジラで第三形態にヘリから攻撃しようとしたら近くにおばあさんがいるじゃんか、というあのシーンを102分に引き伸ばしたようなものです。ミサイル攻撃で1人の女の子を犠牲にするか、自爆テロやられて80人を犠牲にするか、って選択です。

ワンシチュエイションなので、どーすんだよ、どーすんだよ!って緊張がずっと続きます。だから102分という映画としてはやや短めの上映時間でもよかったのかもしれません。これ以上続いたら疲れちゃうよな。

シン・ゴジラだとどーすんだよって葛藤はほぼ首相ひとりのものですけど、この映画は登場人物がいっぱいです。でも葛藤してる人は多くない。テロリスト絶対殺すマンから、1人の命を救うためなら80人が死ぬかもしれないのもやむなしマンまですごく幅が広いです(なお実際には両方ともマンじゃなくてウーマンです)。葛藤してる人はあまりいない。自分で決断したくない人、責任を逃れたい人は多い。本当に葛藤してたのはミサイルの引き金を引くひとりくらいでした。

どーすんだよ!って観客にも問いかける映画です。良い映画だとは思います。でも、面白いかどうかってーとそれはまた別の話です。この映画は盛り上がるところがない。上がって下がって上がって下がってということにはならない。一息つくところがない。クライマックスへ向けてひたすら上がるだけです。


この映画の惜しいのは、現実はこの映画をとっくに超えちゃってるってところです。殺すの、殺さないの、どうするの? 1人の犠牲は仕方ないの? 最初はきっと、そうだったのかもしれません。でも実際には現実は、ドローンからの攻撃でテロリストを殺すことをすでに何百回、何千回とやってるはずなんです。いちばん最初の葛藤からとおく離れ、まぁ仕方ないねスイッチぽちーミサイルどーんになってしまっているのです。そのおそろしさったら。現実のほうがヤバい。