すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

AIを理解できるか

「AlphaGo」という“神”の引退と、人類最強の19歳が見せた涙の意味:現地レポート|WIRED.jp


アルファ碁はもう囲碁をやめるそうです。ですよねぇと思ったけど、早かったですね。ハサビスは最初から3連勝するつもりで、そしてその場で言うつもりだったんだろうなぁ。

「引退」を告げたDeepMindのデミス・ハサビスは、今回のサミットに参加した棋士、そして囲碁に関わるすべての人に感謝の意を表した。そして、過去のAlphaGo同士の対局データ50局分を10局ずつ10日ごとに公開することと、AlphaGoの「考え方」を囲碁の研究に活用できるツールを開発することを約束した。


この、AI対AIの対局データが、それはもう奇妙なものらしいです。


Googleが囲碁ファンに「AlphaGo同士の対局データ」を置き土産。棋譜が意味不明すぎると話題に : IT速報


公開された対局見てるけど
手順の必然性がさっぱり分からんな
こんな意味不明なゲームだったのか碁は

片方が人間だったからアルファ碁の手も味わい深かっただけで
両方アルファ碁だと完全に意味不明だな

Alpha Goの棋譜から考えられるのは
定石の途中で他のところに打つのは損というのが固定観念で
実際は一段落であるとされる手順より前に価値の高いところがほかにあるということ
Alpha Goは手抜きや様子見とかでなくただ価値の高いところを打っているだけ

もう人間には理解不能の展開だ

AlphaGo VS AlphaGoの棋譜を見るときは部分的に見てはいけない
あいつ流れとか無視して常に全体の形勢判断で打つから

人間は想像以上に囲碁を理解してなかったんだなって分かったわ
これは囲碁を理解するためには人間そのものが脳のリミッターを外して脳本来の力を出せるくらい進化しなきゃいけないわ


AIと人間の間にはとんでもない開きがある。それを一番理解してるのがたぶん今回負けた柯潔九段でしょうね。完全に心を折られてるはず。世界最強のはずの自分は囲碁の可能性のほんの端っこを引っ掻いていたに過ぎないと思い知らされた後で、それでもなお囲碁を続けられるのだろうか。気になるところです。


アルファ碁はたぶん定石を持ってない。定石って、局所最適化なんですよね。人間には盤面全体の把握は難しいから、盤面を区切って見て、このエリアはこのパターンで処理しようって打ってく。でも本当は、盤上のひとつの目は他の全ての目と、ひとつの石は他の全ての石と、関係を持っているわけです。だから定石なんて本来ならあり得ない。盤面のあっち側の石の並びが違うのに、こっち側ではいつもと同じふうに手が進むとか、ないわけです。アルファ碁は盤面全体を把握できるから、その場その場で一番いいところに打つ。ただただそれを繰り返して勝っちゃうだけだって話です。

で、実は囲碁ってそういうゲームだった、ってアルファ碁が解を示してしまったってのがこの話の恐ろしいところです。人間の長年の探求と定式化の積み重ねをふっ飛ばしていきなりゴールしちゃったんです。ね、その意味を知ったら絶望ですよね。AIの打つ碁のほうが強くて、AIの打つ碁のほうが正しいのに、人間はそれを理解できないんですよ。


政治もAIにやらせろとか言ってる人もいましたけど、AIに政治させたらやっぱりこれと同じで理解不能な政策が大量に出てくるんじゃないですかね(笑)。人間にはまったく意味不明な政策。何十年かするとやっとそういうことかと解る。でもそんなわけわからん政策に人々は従いますかね? AIにどうやって権威を持たせたらいいんでしょう。

まぁ幸い、政治は囲碁のようにシンプルではありません。政治って世界全体のことですし、世界の部分でしかないAIにはそもそも全体の把握は無理です。囲碁はAIの中にあるけど世界はAIの外にある。だからAIが政治をやるなら世界をAIの中に収めるためにモデル化してシミュレーションするってことになります。つまり人間と同じですね。それでも人間より扱える情報量も多いし計算も速いし感情も入らないから、AIが治めたほうがいいわ、ってことにいつかはなるかも知れないですね。