すべての夢のたび。

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植物はイモムシを知っているか



イモムシを共食いさせる植物があるそうです。

 オンラインジャーナル「Nature Ecology and Evolution」に発表された新たな研究によると、イモムシに食べられそうになった植物は、防御反応として自分の味をひどく悪くする物質を発することがあるという。イモムシは、あまりのまずさに思わず仲間のイモムシを食べてしまう。

「その防御効果は極めて高く、イモムシは葉を食べることにストレスを感じるようになり、こんなものを食べるよりは仲間を食べたほうがましだと思ってしまうのです」


でもこれは人間的な解釈でしょうね。イモムシに味覚はないような気がします。人間の場合で言えば、「うまい」と感じる食物は栄養価が高く(=糖分、脂、タンパク質が多い)、「まずい」と感じるものは栄養価が低かったり、腐ってたり、時には体に毒となる成分が入っていたりするわけです。記事の後のほうに少し出てきますが、植物は、自分をイモムシにとって栄養価の低い性質に作り変えてしまうとか、消化を悪くするような物質を出して、それこそ「おいしくない」ものに変化してしまうわけです。なので、イモムシはもっと栄養のあるものを求めて仲間を食べてしまうと。

しかしちょっと思います。最初からまずければいいのでは。そうしたら最初から食べられないのでは? これは素人考えなんでしょうね。おそらく、最初からまずいと、それをおいしく感じるようなイモムシが出てきてしまうのでしょう。つまり、栄養価の低いものをうまく消化できるようにイモムシが適応してしまうと。だから、常に同じではなく、変化が重要なんですね。


この話を植物側からみるとさらにわけがわからなくなります。当たり前ですが、植物は神経系を持っていません。イモムシにかじられると自分をまずくしてイモムシに共食いをさせる、だと? まずどうやってかじられた、攻撃を受けたと認識し(認識だと? 植物に脳なんてないぞ?)、自分をまずくするという対応を取るのか。そもそも、目も脳もない植物は、自分を攻撃しているものをなんだと思っているのか?(思う? だから脳なんかないって) 正体不明の敵に対して、その敵にとって自分が無益となるよう自分を作り変えるという手段に、どうやって辿り着いたのか。

文章にしてみるとわかるのですが、ここで起きていることの解釈はどうがんばっても人間的なそれになってしまいます。ぼくらはぼくらのフィルターを通してしか世界を見ることができない。植物はイモムシが共食いをしていることなんて知りませんしそうさせる意図もない。だって目もないし脳もないんだから。ただ、攻撃を受けた時にある化学物質を出すと攻撃がおさまる。植物の立場でギリギリ表現を削ぎ落として書いてみるとそれだけのことでしょうね。


ぼくらは世界に対してとんでもない思い違いをずっとしていて、しかもそれに気づくことができないのかもしれない。なんとなく、そんなことを考えてしまいます。世界を知れば知るほど、世界はうまくできすぎていると感じるようになるものですが、たぶんそうではないんだと思います。うまくできているのではなく、ただそうであり、それ以外はありえない。偶然ではなく必然、なのではないかなぁと思っています。神や進化論を持ち出さなくても説明できる方法がなんかあるんじゃないかなーってぼんやり考えてます。