すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

ルールのひとつについて

matsudastyle_B より あーあー…


わたしがファンをやらさしていただいてるところのMATSUDA98さん(以下マツダさん)が、自分の描いたスケブ(スケッチブック)がヤフオクで売られているのを見て、大変なショックを受けた、という話です。

ちょっと要解説かもしれません。マツダさんはプロの作家さん(漫画家さん)だけど、同人誌も作っておられます。プロになっても、趣味で同人誌を作成して即売会で売ってる人は数多くいる。マツダさんもその1人です。同人誌即売会では、プロアマ問わず、作家さんご本人が売り子をされている場合も多いです。そして、スケブを持っていって依頼すると、ファンの人のためなら、と絵を描いていただける作家さんもいる。プロが、タダで、ですよ。(描いてくれる人がどうで、描かない人はどう、とかいう話はしてません)

で、ヤフオクでマツダさんの絵を出品してた輩は、どうやら他の作家さんの絵も売っている様子。つまり、即売会に行き、ヤフオクでさばけそうな作家さんを選んで、スケブに絵を描いてもらえるよう頼んで回ってるのではないか?ということです。


もらったものを金取って売るなよ!というつまらないレベルの話ではない。無料じゃないんだよ、ということだ。それをゆめゆめ忘るるなかれ。世界に交換でない取引はないのだ。あなたが作家さんにスケブを渡し、絵を描いてもらえるよう頼む。では、描いた絵を差し出す代わりに作家さんはなにを受け取るのか? <気持ち>を受け取るのだ。

それは承認とか評価とか賞賛とか、共感だとか、もっとシンプルに好意とか愛だと思う。あなたが渡す渡さないに関係なく、とにかく作家さんは<気持ち>を受け取る。虚空からエネルギーを引き出して1枚の絵を描きあげられるものか! あなたが<気持ち>を作家さんに受け取らせてしまう以上、それはホンモノでなければならない。全力で、生涯、作家さんの手元にあるそれをホンモノにしておく必要がある。いつか気が変わる、それは(男女の仲でも普通にあることだし)ある程度しかたない。でも、そのときのその瞬間の<気持ち>だけは、けしてウソにしてはならない。

<気持ち>は、作家さんの創作のエネルギーにもなるもので、本当につらいとき、キツいとき、〆切間際とかに、取り出されて、眺められ、慈しまれ、新たな力を得て、またそっとしまわれて、絵を描き続けることができる。そういうものだ。ギリギリの状態の作家さんを支えることを可能にするものだ。だからそれをあとからウソに変えてしまうような輩は、絶対にいい死に方ができないと思う。

覚えておくべきこと。無料のものはない。あなたが「何か」を受け取ったら、1.相手も何か受け取っているか、2.「何か」とセットで「釣り合うマイナスのもの」も受け取ってしまっているか、このどちらかである。拾ったものでさえも同じである。このルールを忘れていても、たとえ知らなくても、いつか平等にツケは払わされる。


というかわたしは、無理、そんなの無理っすよ、と思って、オリジナル・ユニーク・「せかいにひとつ」はうちにはもったいなすぎだよー、マスプロダクツしかいらないよー、という道を選択しているヘタレなんですが(マスプロだから雑に扱っていいというわけでもないですけど)。

あと、マツダさんはやさしすぎです。他の作家さんの分まで背負って怒って悲しんでしまってる。人が良すぎる。ずっとそうであっていただきたいと思います。わたしは美しいものからそうでないものまで幅広く好きで、マツダさんには主に美しいもの好きな部分を担当していただいてます。ただパートナーを選ぶときは、同じようにやさしくてかつ抜け目ない人を選んだ方がいいかもしれない。でないと悪徳リフォーム屋とかにいいようにされそうです(失礼な)。


ヤフオクスケブ君だけど、どうなんだろう。もし自分が?何かの事情で?作家さんが自分のためだけに描いてくださった絵を売るほかもう手はない、となった場合、売るだろうか? 売りそう。でもそれは地獄に堕ちる覚悟とかと引き替えだと思う。

でもそういう境遇の人はあんまりいなさそうです。もっといそうなのは、心の形の違う人。これは、少なくない数がたしかに存在している。どうしてそういうことをするのか?とか、何を考えているのか?とかが、まったく想像もつかない人たち。ほんとはそんなふうにくくって切り捨ててはいけないのかもしれないけど、でも今回のような場合は、こちらに引用されてたんですが、こうしておくしかないのだと思います。

「人は愛することの出来ぬ場所では、そこをただ――通り過ぎて行くしかないのだ!」

ニーチェ 『ツァラトゥストラかく語りき』より