すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

タンクに潜るの巻(その1)

10月10日。16時半に予約だったのですが、都営三田線(と南北線の)白金高輪の駅に着いたのはその30分も前でした。地上に出ると雨、というかその日はずっと雨です。白金高輪駅は初めて降りたのですが、駅周辺は開発中といった感じで、高層ビルがいくつかありましたが、地上近くのフロアはまだ工事中であり、開いてる店はほとんどありません。早すぎたのでコーヒーでも飲もうかと思ったけど、見る限りなにもなし。しょうがないので、雨の中、駅周辺をしばらくうろうろしたのち、eccoに向かいました。

駅からはほんの数分ですが、高層ビル→マンションやアパート→一軒家、というふうな風景の変わりようです。こんなとこに?という路地(右手が煎餅屋、左手が駄菓子屋)を入っていくと、左、右、と曲がって、少し進んだ左側の2つ並んだドアに、それぞれあやしげーな青い紋章が描かれています。その右側、eccoマークのドアのチャイムを鳴らそうと手を伸ばすと、中から激しく鈴?ベル?を打ち鳴らす音が! “何!?”と一瞬戸惑ったけれどチャイムを鳴らすと、しばらくして、ecco主催の宮部和雄さんがドアを開けてくださいました。


建物は、ふつうのアパートのようです。1DKかな? Dの部分は天井から下がった暗幕で大きく仕切られており、そのむこうの様子はわかりません。Kの横を通り、奥の部屋に案内されました。そこは和室でした(eccoのページ→「リラクゼーション・サロンのご案内」→「ラウンジ・ルーム」)。照明は抑えめで、とても落ちついた感じ。少し用事があるので待っていてくださいと言われました。部屋にいた猫を眺めてすごすことにします。

少しして、宮部さんが戻ってきます。なんでも、急なイベント?ミーティング?が発生し、そっちとこっちを往復状態のようです。さっき外で見たもうひとつのドアは、その会場である2Fに通じている様子です。タンクのセッションもやや遅れており、前の人が入ったばかりなので、もうしばらくかかりますとのこと。こちらは「今日の用事」はこれしかないので、なにも問題ありません。


わたしは初のタンクなので、何でここのことを知ったか?などをたずねられました。というか「アイソレーションタンク」でGoogleを検索するとeccoがトップですし。それと、タンクの発明者ジョン・C・リリー博士の本を以前に読んで存在を知っていて、さいきんちょっと思いついて入りたくなったのです、などと答えました。さすがに「自分がどこにいるのか確認しようと思いまして」とか、最初からトバして行くのもどうかなぁと思って、それは言えなかった(つか恥ずかしいって)。そのあと宮部さんから、タンクとはこういうものです云々、とひとしきり話をいただきました。が、この辺は省略(わたしはほんとはニューエイジとかそっち系もイケるクチ(つか好き)なんですが、ここはそうでない人も多いと思うので)。また宮部さんが席をはずし、また猫を見ます。日本猫で、体が小さ目だったからまだ子供なのかな? 美人でした。

しばらくして、若い女性が部屋に入ってきました。みょ〜に「サッパリした」って感じ……ってのともちょっと違うか。なんというか、絶叫系ってほどでもないけどなんだかそんな遊園地の乗り物を降りた直後、みたいな? どうも自分の前のお客さんのようです。宮部さんが彼女をソファに案内し、入れ替わりにいよいよわたしの番です。和室からダイニング?に移動します。

暗幕の向こうはいきなりタンクでした(「リラクゼーション・サロンのご案内」→「タンク・ルーム」「タンク・ルーム2」)。タンク、思ったより2まわりくらいデカいです。うわ、って感じ。うなるような音がしており、いま水を循環・濾過しているところです、と説明されました。タンク周辺も各種グッズ・法具で飾られていて、タンクの上には巨大なドリーム・キャッチャーがありました(「2」の写真)。


まず、「音による清め」ということで、椅子に腰掛け、密教法具の金剛鈴(なんかハンドベルみたいなやつ)を、頭部周辺で打ち鳴らされます(つまり、ドアチャイムを鳴らす前に中で鳴っていたのはコレ)。目を閉じていましたが、音がビンビン響いてものすごいです。わたしはあんまりすごいことが起きるとつい笑ってしまうんですが、この時もこらえるのに懸命でした。続いて同様に、ヒモでつながれた一対の手のひらサイズのシンバルのようなもの(わかります?)を頭の周りで鳴らされます。これもすごい。さらに、東を向いて立たされ、頭に金属の鉢(「2」の3枚目の写真)を被せられ(かなり重い)、鳴らされます。グゥオ〜〜〜〜ン。キます。これだけでキまくり。笑いそう。その後に諸注意とタンクに入る前の作法(神社同様、二礼二拍手一礼と、さっきの鉢?を2度打つ)を教わります。そして宮部さんは退出。念のためトイレに入り、シャワーで髪と身体を洗います。

シャワーから出たら、そのままタンクです。体拭かない、アンド全裸。水着などは体を締め付けるので、感覚遮断のためには邪魔なのです。教わった通り作法をこなし、タンクに入ってとびらを中から閉めます。鍵などはありません。閉めたらまっくら。中は、そりゃタンクがでっかいからそうなんですが、思ったより広い。頭を奥、足を入り口側にするとよい(換気口が奥にあるので)と聞いたので、奥の壁に触れようと手を伸ばすのですが、思ったより壁は向こうで、あれ?あれ?ってうちに水の中に倒れ込んでしまいます。水は深さ25cmほどですが、「630リットルの水に360Kg(飽和点)ものエプソムソルト(硫酸マグネシウム)が溶かし込まれている」(目に入るととてもイタイ)とのことで、寝れば簡単に浮いてしまいます。「一度とびらを中から開けて、開くことを確認してください」と宮部さんに言われていたので、開けてみます。自分で開けられることをちゃんと確かめることで、不安が減少するのだ、ということらしいです。

ふたたびとびらを閉め、水に体を横たえます。最初はなかなか感覚がつかめず、ぐらぐらユラユラしてしまいます。そのうち左右の壁や頭・足のほうの壁にぶつかる。広い、と感じていましたが、実際はこのくらいはないとダメだということのようです。そのうちに力の抜き方が解ってきて、少しずつ体を安定させられるようになります。


中は、当然のごとく真っ暗です。わずかな光もありません。目を閉じても、開けても、何も変わりません。……と言いたいのですが、なぜかわたしは「目をつぶると眩しい」という状態にときどきなることがあり(ありません? 寝るときになると困るんだこれ)、この日も一時それが起きたので、しばらく目を開けていました。音もまったくありません。……と書きたいのですが、わずかに、でもいろいろ、音はします。たとえば胃や腸でなにかが「コポポ…」と流れる音、自分のまばたきの音、体が動いてしまった波の音、ごくたまーに天井からしずくが垂れる音(水温・気温ともに34度くらいらしい)、まれに何かの振動など。しかしそもそも耳は水につかっているため、ほとんどの音は聞こえません。静かに、静かに、タンクの水に体をゆだねます。

そしてわたしはいきなりアカシック・レコードにアクセスしました。なわけない。生命樹に接続されました。嘘。深層意識にダイブしました。とか無理だって。まずですね。肩が痛いんですよ、すごーく。普段いかに体に力が入ってるか、ってことで。プログラマならば肩。エプソムソルト水溶液に浮かんで重力から解放されると、とたんに力みが噴出、イテテテテ、となるわけです。下半身はリラックスして存在もわからないほどなのに、肩いてー。そして首も微妙にいてー。角度が、どういうのが落ちつくのか、よくわからないのです。あごは引いたほうがいいのか? もうすこし上向きがいいのか? などと調整してもどこか不自然らしく、だんだん痛くなってくる。それよりも肩。仕方ないので両手を上に上げてバンザイ状態で浮いてました。するとかなり楽になりました。しかしまったく動かずに浮いていることは難しく、漂ってしまいます。バンザイした手先が頭のほうの壁に触れるので、ちょん、と指で押してやると、しばらくして今度は足が壁に触れるので、トン、とつま先で壁を。このくり返し……。


などとやっているうちに、眠っていたことに気づきました。というか、いつの間にか眠ってしまって、起きたことに気づいた。この感覚は、全身麻酔のような感じだと思いました。フッと眠り、同じようにフッと起きる。うとうと、という感じがしない。うとうとは時間を感覚させるものがあるからそうなるのではないか?と思いました。タンクの中は時間経過がまったくわからないのです。

いったんは眠るほどリラックスできたのに、そのあとは無理でした。どうもやはり、初めての体験だけあって、全身が「何かを感じ取ろう」としてしまうのです。肌に触れるエプソムソルト水の感覚や、体の中のさまざまな音。そして痛む肩。あと、髪を洗った時にひっかいたのか、顔の皮膚で水につかっている部分のヒリヒリ感など。そうこうしてる間にタンクの中に音楽が流れました。1時間経った合図です。足元のとびらを探り当て、開けます。外に出てタンクの入り口に向かってまた2拍手。そしてシャワーを浴び(なんつっても、ものすごく塩水ですから、髪バリバリ)、服を着て、部屋に戻りました。


部屋には宮部さんと、先ほどの女性がいました。どうやら、タンクから出たあとずっと宮部さんと話をしていたようです。彼女は3回目と言っていたかな? 田口ランディのblogでアイソレーション・タンクを知ったとのこと。お腹が空いたでしょう、ということで宮部さんからコロッケとお水をいただき(なぜかどちらもバカウマ)、そのあと3人でしばし歓談、というほどでもないか。主に宮部さんの話を聞いていました。シンクロニシティに関する驚異的な体験談とか(いやーこれは、書いても信じてもらえないようなものすごい話でした)、もちろんタンク関連の話とか。週イチで入りに来る人や、中には毎日(!)の方もいるそうです(ストレスが溜まる仕事らしい)。そして、夜も遅くなってきたのでそろそろ、ということになりました。

外はまだ雨。その彼女と、白金高輪の駅までいろいろ話をしながら戻りました。もうちょっと時間が早ければどこかにお茶にでも誘って話を聞きたかったところですが、もう21時過ぎだったし、電車も反対方向だったので、そのまま駅で別れました。まぁ縁があれば会えるでしょう、またいつか、ということで。そうそう、忘れてたけど、久しぶりに仕事以外でけっこう音声会話をしたなぁ、と。よいものだ、と思いました。


と、初タンクはこんなふうでした。次回は今度の土曜です(ぉ 帰り間際に予約入れてきちゃいました。続けて入った方が慣れるの早いかなぁと思って。まだ当初の目的も達成してないですし?