すべての夢のたび。

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本の紹介

脳はあり合わせの材料から生まれた―それでもヒトの「アタマ」がうまく機能するわけ

脳はあり合わせの材料から生まれた―それでもヒトの「アタマ」がうまく機能するわけ


この本は非常に面白かったので、書評っぽいものでも書かないとなー、しかし面倒だなー、とか思っているうちに、tokyocatさんの書評が投稿されたので、それを読んでもらえばいいや、ということになりました。

東京永久観光 : 2009年1月の読書本

まずはこちらのエントリでの本書の紹介個所をお読みください。で、「その具体例の説明は脳科学というよりけっきょく心理学かなあという印象だが、とても面白いことにかわりはない」、という、その実験の記述を本書よりいくつか引用してみます。

私の元同僚ジョン・バージがニューヨーク大学在職中に行なった独創的な研究をご紹介しよう。実験に参加した被験者はみな同大の学生で、一連の乱文を再構成する課題を与えられた。それらの乱文の中には、「年を取ること」が共通テーマとして導き出されるように、「年老いた」「賢明」「忘れっぽい」「フロリダ」などの単語がこっそり埋め込まれていた。被験者は指示された通り課題に挑んだ。ところが、本当の実験はじつはこの後で行われていたのである。バージは被験者が実験後、ホールを横切ってエレベーターに向かう様子を内緒でビデオテープに収めた。すると、どうだろう。彼らが歩く速度は読んだ単語に影響されていたのである。学生はみなこの後にどこかに行ったり誰かに会ったりする用事があるはずだった。にもかかわらず、「退職した」や「フロリダ」などの単語を解読した被験者は、そうでない被験者よりゆっくりと歩いた。

 心の汚染はあまりにも強力であり、当面のテーマとはまったく関係のない情報が私たちを支配することがある。ある先駆的な実験で、心理学者のエイモス・トヴァスキーとダニエル・カーネマンは、1から100までの数字を刻んだホイール・オブ・フォーチュン(訳注 賞金や賞品の抽籤に使う大きな円盤状の装置)を回した。その上で、ホイールを回した結果とはまるでかかわりのない次のような質問をした。「アフリカの国が国連加盟国の何パーセントを占めるか?」 大半の被験者は答えに確信が持てなかったので、推測するしかなかった。そのこと自体になんら問題はない。ところが、推測結果はホイールの数字に影響されたのである。ホイールが10で止まると、典型的な答えは25パーセントとなった。ホイールの数字が65の場合は、典型的な答えは45パーセントとなった。

この実験では、被験者は上下の歯でペンを軽くくわえ、唇に触れさせないようにと指示される。すると口をすぼめた別の被験者より漫画をより楽しいと評価した。どうしてなのだろう。鏡に向かって次のことを試してみると答えのヒントが得られるかもしれない。歯でペンを軽くくわえ、唇に触れさせないようにしてみよう。さて、鏡の中のあなたの唇の形を見てほしい。唇の両端が笑っているように上がっているのがわかるだろう。文脈に依存する記憶の力によって、唇の両端が上がっていると、反射的に楽しくなると了解できる。


こういった実験の紹介が本書の主題ではないです、が、このような「マジで!?」的実験が大量に紹介されています。ここからライフハックの10や20をでっち上げるのも訳ないと思いますほんと。最初に紹介した実験は「プライミング」、2つめは「アンカリング」というらしい。プライミングについては、たとえばスポーツで、自分は速いんだ、強いんだ、と言い聞かせるのもこの実験結果を思えば故無きことではないと考えられるし、相手チームに向けて飛ばすヤジだって有効かもしれない。っていうか、ひどいブログが大好きなひとはひどい人になってしまいそうです(笑)。有り得なくはない。アンカリングは、本書では「価格交渉をするなら先に言い値を提示した側が有利」のように解説されています。3つめの実験は……なんでしょう。「とっておき」のものは、コンディションのいい時に楽しむべきだ、みたいな応用ができるのかなぁ。機嫌が悪いと食事も不味いみたいな。いや、「笑えばいいと思うよ」か。

この本については、そのうちもっとちゃんと書くかも書かないかも、という感じです。実際、打算がありました。この本の内容は人には隠しておいた方がぼくには有利なのです。だって、エントリを書く場面においてもいろいろ応用できますしね。


で、tokyocatさんの書評で気になってこれを買ってきました。まだ読んでませんが。


四とそれ以上の国

四とそれ以上の国