すべての夢のたび。

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『紫色のクオリア』読んだ。

紫色のクオリア (電撃文庫)

紫色のクオリア (電撃文庫)


ぼくがラノベを読むのはせいぜい年に数冊です。シリーズを追ってるわけではなく、その時の話題のものを。これは、twitterのTLで何度も書名が流れたので、流行ってるのかそうかー、と思って買ってきた。

自分以外の人間が“ロボット”に見えるという紫色の瞳を持った中学生・毬井ゆかり。クラスでは天然系(?)少女としてマスコット的扱いを受けるゆかりだが、しかし彼女の周囲では、確かに奇妙な出来事が起こっている……ような?


「読めてよかったか?」イエス。「面白かったか?」んー、イエス?「お薦めできるか?」微妙……。ってところでしょうか。

まず、「おお?」だったのは、表紙の紫色の目をした女の子がメインの話かと思っていたら(ふつうそう思いますよね)、この子を好きな別の女の子がメインだったところ。で、クオリアがネタなのかと思ったら(ふつう略)、量子論の多世界解釈がネタだったところ。

で、多世界解釈がネタっても、並行世界で女の子が大活躍するよー、みたいなんじゃなくて、多世界解釈をラノベ的にどう取り扱えばいいか思いついたのでちょっとやってみます!みたいな、アイデア一本勝負的な感じのお話でした。まぁあの辺やあの辺のパクリじゃね……って言われ方もあるのかもですが、ネタをどう調理できて、そんで面白く見せられるか?が勝負所だとぼくは思うので、そこはいいんじゃないかと。

しかし、アイデア一本で押し通してる分、他が全面的に薄いかなと。ラノベ購買層がいわゆるラノベに期待しているようなものがあんまりない。「――!!!」ってなるような萌えも、ぐっとくる熱い展開も、ここにはない。つーか、これぐらいの実験作っぽい話でも出版できちゃうんだなーっていう感じで、ラノベの自由さを思いました。漫画と違ってラノベは翻訳されにくいだろうから、逆にタコツボ化してどんどんとんでもなくなってくといいですね。

というわけで、アイデアは面白かった、話はちょっと追いついてないかも、そして読む人を選ぶかも、と、そういう感じの本でした。


あとどうでもいい話をする。ぼくはどんな本でも「自分の世界観を補うのになんか使えるネタはないか」って読み方をするのです。ラノベに対しそういう読み方をすることと、そもそもそういうものをラノベに求めるところはともかく。で、クオリアが自分(そういう感じ方をする主体の唯一性が自分を立ち上げている)ってところは、違うなと思った。何度か書いているけどぼくは"自分は記憶"だと思う。まぁそんなこと言われても作者さん大弱りだろうけどw あと多世界間をどう自分が渡り歩くのか(世界がどの主体から開けるのかを決定づける条件は何か)は、ちゃんと書いて欲しかったよと。