すべての夢のたび。

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『重力の再発見』

重力の再発見―アインシュタインの相対論を超えて

重力の再発見―アインシュタインの相対論を超えて


昨日買った本の紹介。書評じゃないです、まだ半分しか読んでないので。

アインシュタインの一般相対論は、われわれの宇宙観を一新させた。これまで何度も検証されてきたこの理論だが、銀河や銀河団の力学へと適用範囲が広がるうちに矛盾を示す観測結果が得られるようになった。つじつまをあわせるダークマターやダークエネルギーの存在が仮定されたものの、多くの努力にもかかわらず、その正体はいまだ明かされていない。ダークマターはなぜ見つからないのか、じつはアインシュタインは間違っており、修正された新たな重力理論が必要なのでは……。重力理論研究の権威が、パラダイムシフトの瀬戸際に立つ最新宇宙論を語る。


ダークマター。銀河の中心とかにあるんじゃないか、と言われている、すごく重たいなぞのなにか。なんでそんなもんの存在を仮定しなくちゃいけないのか? 最近になって観測機器の性能が飛躍的に上がり、んでもって宇宙をもういちどよく眺めてみると、なーんか相対性理論と合わない結果が出てるなーと、そういう事実が大量に発見されつつあるそうです。もっと、重力は、強くなくちゃいけない。そうじゃないと、渦巻き銀河の端っこの恒星はそのうちどっかに飛んでってしまうし、銀河がいっぱい集まった銀河団もやがてはバラバラになってしまう。

ダークエネルギー。なぞの"反重力"エネルギー。なんでそんなエネルギーがなくちゃいけないのか? 宇宙が膨張していることは以前から知られていたけれど、最近になって、なんと驚いたことにその膨張は加速していることがわかった。ということは、宇宙全体にわたって(=膨張の割合は宇宙のどこでも一定なので)、昔アインシュタインが相対性理論に「宇宙項」として取り入れ、やがて「最大のミスだった」と取り消した、そういう万有斥力的な働きをするなにかが実際にある、ということになる。

著者は20歳の時、晩年のアインシュタインと手紙をやりとりしていたという。そして自身が世に問うMOG(修正重力理論)は、「アインシュタインの足跡を追いかけ、もしアインシュタインが生きていればたどったであろう道筋を進んできた」結果出来たものだ、と主張する。

 MOGは、現代物理学や宇宙論に存在する3つの難問を解決してくれる。MOGにおける重力は標準モデル(注:一般相対性理論から導き出される宇宙モデル)より強いので、取ってつけたようなダークマターをまったく使わずにすむ。また、ダークエネルギーの由来も説明できる。さらに、MOGにはやっかいな特異点がない。この宇宙はわれわれが信じてきたのとは違うような場所、おそらくはもっと理解しやすく理にかなった場所であることが、MOGの数学を通じて明らかとなるのだ。


著者によると、MOGの宇宙論からはブラックホールもビッグバンも出てこないという。いまや一般の人でも普通に知ってるブラックホールも、実はアインシュタイン自身はその存在を気に入っておらず、最後まで相対性理論から取り除く方法を考えていたという。なるほど著者がアインシュタインと同じ道を進んでいると自認する理由はあるらしい。そして、宇宙が非常な幸運・偶然が重なった末にいまの姿を取っているように見える理由も、MOGによれば単に「理論の不備をパラメータ調整で穴埋めしてるだけ」だったということになるのだ。

しかし。

 MOGには、強さが重力に近い5番目の新たな力が含まれている。


第5番目の力キタ━━━(゜∀゜)━━━ッ!!

その存在は、太陽系を越え、銀河内の恒星や銀河団の運動、あるいは宇宙の大規模構造、いわば宇宙全体に現れる。この第5の力は、MOGの方程式に新たな自由度として組みこまれ、アインシュタインの理論を一般化するときの主な材料の一つとなる。自然界には5種類の基本的な力が存在すると言える。重力、電磁気力、放射能を支配する弱い力、原子核を一つにまとめている強い力、そして新たな力だ。


ここまで読んで、あれ、もしかしてぼくはトンデモ本を掴んでしまったのかな……とちょっと思った。しかし、一息ついて考えてみたい。ダークマターやダークエネルギーだって、充分トンデモなのだ。なぜなら、物理学者の主張によれば、宇宙の中で目に見える物質やエネルギーはたったの4%、「誰も見たことのない」ダークマターが24%、そして残りの72%は「反重力」ダークエネルギーで出来ているというのだから。実際トンデモ度においては「第5の力」と大差ないのではないか。

一般相対性理論は過度に神格化されている、と著者は考えている。理論を守りたいがために有り得なさそうな仮定を置くのはエーテル論と変わらないではないか、素直に理論を修正すべきと著者は主張する。ごもっともです、とぼくは思った。科学はそうやって歩を進めてきたはずだ。まぁどっちにしろ現段階では未検証だ。宇宙に対する知見は今も拡がりつつある最中なのだ。LHCがダーク何とかを発見するのが先か、それともパラダイムシフトが起こってしまうのか、楽しみに見守りたいなぁと思った。