すべての夢のたび。

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電子コミック誌を買うときにぼくらが買うもの

 アスキー・メディアワークスは8月4日、描き下ろしのオリジナル漫画を、iPhone、iPad、PC向けに配信する国内初の電子コミック誌「電撃コミック ジャパン」を12月に創刊すると発表した。10月にプレ創刊号を、ボイジャーが運営する電子書籍サイト「理想書店」で発売する。
 24人の漫画家による描き下ろし作品を掲載する。全600ページで、月1回発行。プレ創刊号は全120ページで、漫画「犬神」の外薗昌也さんや「でろでろ」の押切蓮介さんらの作品を掲載する予定だ。
 プレ創刊号と創刊号は無料とし、2号目以降は500円で販売する。プレ創刊号は理想書店のみで販売するが、今後、ほかの電子書籍サイトも検討。対応端末も順次拡大させる。


こういうニュースがあったのだけど、果たしてこれは喜んでいいものなのか?

最初に理想を言ってしまえば、iTunesで1曲単位で曲が買えるように、ある作家の漫画を1話単位で購入できるようにするべきと思う。雑誌というフォーマットに拘る必要はないだろう。本来1話ずつ売るべきところを、流通コストの関係で複数の作家の作品を束ねて売っているのだろうから。もちろんそれによって抱き合わせ販売で新人作家を売り込む、なんてことも出来ているのだろうけど、そんなの別に試し読みを充実させればそれでいいじゃん、と思う。面白ければ買うし。

そして、コミックが電子化されると、単行本というものの存在も怪しくなる。仮に電子コミックが1話ずつ購入できるとするならば、単行本というのはiTunesで言うところのプレイリストだ。単行本(アルバム)のために新たに1話(1曲)を買い直す必要はまるでないし、物理的な制約はないのだから、そこに何十話(何十曲)まとめて入れようが構わないわけだ(もちろん、まとめて買えば安くなります、というのなら大歓迎だ)。

あくまでも雑誌スタイルで売るというのなら、紙の雑誌をバラせるように、電子コミック誌に収録されたそれぞれの話も切り離せるようにするか、せめてブックマークを付けさせて雑誌ごとに横断して読めるようにさせて欲しい。それができないなら、正直言って使い勝手は紙の雑誌以下だ。紙以下のものを売りつけて、さらにあとで電子単行本を売るような、そういうあくどい商売はどうかやめていただきたいと思う。

まぁ、しかし、言うまでもなく最大の問題は、フォーマットの乱立だ。Amazon/Apple/Googleをメインに実質数種しかないアメリカに比べ、日本の電子書籍はフォーマットが多すぎる。どれがスタンダードになるのか知らないが(というか、どれもスタンダードになれずにいずれアメリカ発のものに駆逐されると思うが…)、これ以上はもう無理となって撤退するときに、買った本はどうなるのかということだ。他のフォーマットにコンバートしてくれるのか? あるいは、テキスト化/PDF化してくれるのか? もしも「単に読めなくなる」だったら当然「金返せ」である。しかしきっとおそらく、ユーザー登録かなんかの時にすっとばしてOKを押す"同意事項"のあたりに、将来にわたって読めることは保証しないとかなんとか書いてあるんだろうなぁ。

というような諸々の懸念が積み重なって、いまのところ国産の電子書籍は全く買う気にならないんだった。次世代ゲーム機や次世代光ディスクと同じ、買い控え状態だ。速度とパワーでは圧倒的にアメリカなのだけど、一方コンテンツは日本国内にしかないわけで(英語読めないし)、この国ではなかなか電子書籍の普及は難しいのではないだろうか……なーんて言ってるうちに、Nintendo DSのコピーゲームよろしく自炊コミックがP2Pで流通しだしてiPadやKindleの普及にも拍車がかかり、コミックが売れなくなってしまう前に出版社が自分で売る他なくなる、というシナリオを期待しています。