すべての夢のたび。

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今日買った本

アルカナシカ  人はなぜ見えないものを見るのか

アルカナシカ 人はなぜ見えないものを見るのか

人はなぜ、不思議な現象を怖れ、憧れ、求めるのか? 偶然に導かれるように出会った、UFO遭遇者、超能力者、霊能力者――。体験者たちの圧倒的な現実から人間の意識と精神の根源に迫る、渾身のノンフィクション!

田口ランディという人の本を初めて読んだ。彼女についてぼくが知ってるのは、ネット出身の作家であること、オカルト・スピリチュアル寄りの作品を書くらしいこと、盗作問題を起こしたこと、それくらいだった。

彼女自身は、幽霊もUFOも、見たことはないらしい。でもこの本に、ユリ・ゲラーに会った経験が報告されている。彼は目の前でスプーンをぐにゃぐにゃと曲げ、手のひらに乗せた二十日大根の種をいきなり発芽させたらしい(20秒で15cmも芽が伸びた、とある)。他にも、錯覚や偶然では片付けられないような体験が書かれている。

で、読者であるぼくは思うのだ。これらはほんとうのことなのか? 超能力はあるのか? UFOは? あるわけない、と否定するのは簡単だ。ただし、疑問は残る。こんなことは、作家としての信用を捨ててまで、著書で訴えたいことだろうか? ここまで詳細に書かれたことがウソなのだとしたら、いったい彼女になんの得があるのか?(しかしここで盗作問題の一件を思い出し、いくらか「もしかしたらやっちゃうのかもなぁ」と思わせる……盗作はよくない、ほんとに) それにこういったことを言っているのは、もちろん彼女だけではない。そして多くの報告には共通性があるのだ。

では、ほんとうのことなのか。かんたんにその結論に飛びつくこともできない。ぼくも彼女同様、幽霊もUFOも見えないからだ。いや違う、見て、存在を受け入れているなら、そもそもこんな本を読もうと思わないだろう。見たい、信じたいという気持ちがぼくにもあるのだ。

あっちの世界にほんの片足を突っ込んだことがある。しかし未だにぼくは此岸にいる。あちら側にいる人たちは誰も、美しく、一生懸命で、真剣なのだ。なまなかな覚悟で踏み込んでいい場所ではない。それにぼくは根がいい加減で、面白けりゃなんでもいい人間だし。でもいつか、ああもう時間がないなぁとか、こっちも飽きたなぁとか、そういう気分にふとなったら、あちら側へ飛び込んで行くと思う。その時はもう戻らない覚悟で。一応挨拶くらいはしていきたいと思ってはいますが。