すべての夢のたび。

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桐島見てきたってよ(バレ)

映画『桐島、部活やめるってよ』公式サイト


事前情報として「1.高校の映画で、2.桐島本人は出てこない」ということだけを知っていた。2は知りたくなかったのだが誰かのツイートを見てしまった。ガックリきた。

この映画は桐島の不在を巡る群像劇で、同じ時間の流れを違う登場人物の背後から何度か描いたりする。群像劇なので、誰かに感情移入してしまって見るカタチになるわけだけど、ぼくは当然(当然)、あの眼鏡の彼である(けしてもうひとりのほうではなく)。映画部。監督。そしてぼくがいいなと思った女子も当然、彼と同じだ。ちょっとエキセントリック入ったおかっぱの子。みんなそうだと思うんだ。なんでそうなの? そしてあのシーンでうああああってなるわけです。

でもぼくの時は、クラスはもう少しのどかだった気がする。のどかっていうか馬鹿っていうか。いまはあんななんですか。あんなヒリヒリした空気のなかでやってくのは辛そうだな。

映画は運動部対文化部で、文化部内にもカーストがあって、吹奏楽部>映画部ってなってる。映画部が校舎の屋上で8mmカメラでゾンビ映画を撮影していると、不在の桐島を見たという情報に踊らされた運動部連中が大挙して撮影現場に押し寄せる。そして桐島がやっぱりそこにいないことで勝手にブチ切れ、撮影を中断させられた映画部もプチ切れ、ビビリ入りながらもケンカふうな状態に突入する。

そこで眼鏡の映画部監督の彼はこう言うわけです。ゾンビ役の部員たちに、こいつら(運動部)を食べてしまえと。ここがなー、このセリフはちょっと出ないですよね。いままで日常を描いていたのにここで浮揚して映画になった。吹奏楽部の演奏をバックに運動部たちに襲いかかるゾンビ。飛び出す内臓。もがれる腕。おかっぱの子の肩口に噛み付き皮膚を食い破るゾンビ。噴き出す鮮血。それを8mmで撮る監督。

やがて騒乱状態は終わって運動部は去り、残された映画部は後片付け。ここで、去ったひとり(かっこいい)が戻ってきて、眼鏡と少し話をするんです。運動部と文化部の邂逅が起こる。8mmカメラを借りた運動部(現帰宅部)はそれを眼鏡の彼に向け、将来は映画監督?とインタビューする。彼は少し考えて、応えていう。映画監督になんてなれないと。ここでやっと、いままで浮揚してた映画が日常に現実に戻ってくる。だから眼鏡くんの次のセリフが、上辺の会話ばかりのこの映画の中でいちばんの、グッと来るほんものと化すんですね。うまいわ〜と思いました。

ぼくはあの、桐島の彼女の綺麗な子、あの子が主役か、それに近い位置だと思ってました(あのカーストを呼ぶのに"綺麗な子"としか言えないという)。そうしてそのまま見終えてしまった。スタッフロール見て公式サイト見て、こういうところでは重要な役から先に紹介するよな、ぼくの常識ではそうだ、つまりこれは文化部の映画だったんだ……と、やっとそのことに気づいた。映画見るんでも運動部の人を無意識に上に据えちゃうんだな。なんだかなぁ、その病は。