すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

右の手のしていることを左の手に知らせるな

 米国のある患者は重度のてんかん発作を持っていました。てんかん発作は、脳のある場所で起こった過剰な電気活動が脳全体に広がって起こります。ひどいと薬で抑えられません。この患者は、脳の左と右をつないでいる神経線維を切る手術を受けました。過剰な電気活動が反対側まで広がらなくするためです。手術は成功し、てんかん発作は治まりました。しかし、その後の心理テストで驚きの事実が明らかになりました。

 実は、右脳にも左脳にも言語の能力を持つ人がごく一部います。この患者はそういう一人でした。心理学者が巧妙な方法で片方ずつの脳に問いかけると、両方の脳と意思の疎通ができたのです。将来の夢を尋ねると、左脳は製図工と答え、右脳はカーレーサーと答えました。好きな有名人や食べ物を尋ねても、それぞれの脳が別の答えを示したのです。別の感情や考えを示すこともできました。つまり、一人の脳に二つの意思があったと考えられるのです。


これは脳科学の本とかによく出てくるエピソードですね。「巧妙な方法で片方ずつの脳に問いかけると」ってのは別に大した話じゃなくて、右の耳だけに聞こえるようささやくとか、左目だけに文字を見せるとかそんなです。

別に脳梁を切断しなくてもこれと同じような症状になる人はいて、右手がなにかをしようとするのを左手が押さえつけたりとかするらしいです。

もちろん気になるのは、「こういう時、患者はどう感じているのか」ですよね。「二つの意思がある=二人の"わたし"がいる」なんだろうか。でも仮に二人いたとしても、二人の間で意思の疎通ができないからこういう奇妙な現象が起きるわけで、互いに「もう一人」の存在には気づかないんじゃないかと思います。


さてここで本当に起きていることはなんなんでしょうか。ぼくたちの脳は、もともと左右それぞれで計二つの意思を持っていて、それが脳梁を介して一つに統合されているのか。それとも、もともと一つなんだけど切ったから二つになったのか。たぶんそのどちらでもないんだろうなーとかちょっと思う。切った分だけ増えるって発想も面白そうですが。

「イルカは脳を半分ずつ休ませることで24時間泳ぎ続けることができる」なんて話も聞きます。でもそれ半身寝ちゃって動かなくなるんじゃないの?ってちょっと不思議な気もします。人間でも、例えば声帯みたいに中央にある器官はどんなふうにコントロールされてんだっけ、ってのは本で読んだけど忘れてしまったなぁ。声が出なくなるのは左右の連携が悪くなるからとかなんとか? 適当言ってるかもしれません。


目が覚めたまま、『ハンニバル』みたいにパカっと頭開いて、脳梁切断したらどうなるんだろう(ちなみに脳に痛覚神経はない)。"わたし"が右脳か左脳かにひょこっと移動したりするんだろうか、ってのは多分素人考えなんだろうなぁ。