昨日も書いた偽作曲家のおはなしは意外な展開を見せ始めました。
佐村河内氏の誇大妄想的なアイディアを新垣氏が形にするという、この特異な状況下でしか生まれ得なかったあれら一連の楽曲とその魅力を、「全聾の作曲家が轟音の中で」云々よりよほど真実に近いだろうこの(小説より奇なる)物語とともに味わい、よりよく理解し、より正しく評価すること。それが、取りうる最も適切な態度ではないかと思う。
うまい。音楽の力がある人は文章の力もあるんだ。
「全聾の作曲家が作った曲」が詐欺だったということで一気に無価値になったかと思ったら、「『全聾の作曲家が作った曲』という触れ込みの、まじめで純粋で超絶技術を持つ作曲家が真摯に作った曲だった」という、より大きな新たなストーリーを得たわけです。これ、まえのよりいいじゃん。力強く再浮上。
そんな佐村河内守名義のアルバム『交響曲第1番 HIROSHIMA』が騒動前はオリコン圏外だったが、2014年02月05日付のデイリーランキングを見てみると21位に浮上しているのだ。実に皮肉なことで騒動でこのアルバムを知った大勢の人が買い求めたようである。また大手オンラインストアの『アマゾン』でも「ベストセラー1位」となっている(音楽 ― クラシックのカテゴリ)。現在はアマゾンでも購入できない状態。
そんなもんだ。犠牲者も少なくて済んだ。すべてはバランスとタイミングです。納得いかん人もいるでしょうが。
この話の全体をまたドキュメンタリー化したらいいと思います、NHK以外で。