すべての夢のたび。

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痴漢冤罪の敵は痴漢ではない

最近、通勤時間帯に電車が止まることが多くって、その時のアナウンスが「線路内に人立ち入り」ってのが多くって、これって痴漢または痴漢に間違われた人が線路上を走って逃げてるのでは?って解釈されてきて、にわかに痴漢冤罪の話が盛り上がってきたようです。

いいと思いますね。ぼくも電車に乗るときには、特に座席につけず立っているときなどは、なるべくこう、女性のそばには寄らないように気を付けています。女性を疑っているのではなく、勘違いされたら困るからです。ご存知と思いますが、痴漢の容疑で捕まるとほぼ100%有罪です。実際にはやってなくても有罪。先日なんか「容疑者の両手は吊革とスマホで塞がっていて痴漢行為は不可能。でも被害者がやられたって言ってるから有罪」って判決がありましたからね。どれだけ被害者有利なんだ。そしてごくまれに無罪になったとしても、取り調べや裁判で長期に渡り拘束されて会社は辞めることになり、解放されてもずっと「本当はやったんだろ?」という目で見られ、社会的な死となります。

そこで、どうせ捕まったら終わりなら走って逃げよう、という発想に結びつくわけです。線路を走って逃げる。この考え方が、多くの男性の間で最近共有され常識化されてきた、ってことではないかと思います。まぁでもどうなんですかね。線路、そう走りやすそうには見えません。電車もいる。それに踏切でもなければどこから外に出ればいいのかもわからないし。そのうち線路を走りやすいビジネスシューズとか「駅間別!脱出ポイントまとめ」なんてのが出てきたりして。


痴漢冤罪の話は女性からは反発を受けやすいです。冤罪があまりクローズアップされると、女性の側も「触られてる気がするけど、もし間違いで冤罪にしてしまったらどうしよう?」「絶対に間違いなく痴漢だけれど、コイツが『冤罪だ!』と騒ぎ始めたらどうしよう?」と考えてしまい、声を上げにくくなります。なので女性は、本当の敵は痴漢そのものだ、痴漢をなくしてほしい、痴漢冤罪を減らすことよりそっちに向けて力を使ってほしい、と言います。

でも今日気づいたんですけど、痴漢冤罪の敵は痴漢じゃないです。だって、仮に全ての痴漢が悔い改めるか絶滅するかして、この地上から痴漢が1人残らず消え失せたとしても、それでもなお痴漢冤罪は起こることが可能だからです。意図せず接触してしまう男性と勘違いする女性がいれば痴漢冤罪は起こるのです。女性の言う「痴漢がなくなれば痴漢冤罪もなくなる」というのは「"痴漢"という概念そのものを人類の脳内から消去すれば、男性による意図しない接触を女性は『これは意図しない接触だ』と考えるようになる」というのに等しく、現実には不可能です。

それに痴漢は不可視です。痴漢は、痴漢行為が発覚するまでは周囲の人の目には見えません。ぼくは何十年か電車に乗っていて痴漢を見たことは一度もないです。見えないものは敵ではありません。戦いようがないからです。痴漢は痴漢冤罪の敵ではありません。

痴漢冤罪の敵は警察や司法、まぁ司法ですね。捕まったらほぼ有罪なので弁護士すらも「痴漢に間違えられたら逃げろ」と推奨する気の狂った現状をなんとかしてほしい。ていうかふつうに真面目に裁判をやれ。冤罪だろうがなんだろうが捕まったら人生おしまい、ということがなくなれば、ちゃんとおとなしく捜査にも協力するし、線路を走って逃げて電車を止めて社会に損害を与えるやつもいなくなるし、女性だって声を上げやすくなる。「冤罪だ!」と言って逃げようとする本物の痴漢に対しても「はいはいじゃー裁判で白黒つけましょうねー」と言える。いいことしかない。痴漢冤罪の敵は司法です。よく考えたら当たり前ですね。冤罪なんだから、敵は罪を被せたやつに決まってます。ずっと勘違いしてました。


まぁなんか今回の盛り上がりをきっかけに状況が動いてくれるといいですね。線路内人立ち入りが社会問題化して国会で取り上げられるとかそういう。薄給の会社に、混雑した電車での長時間の通勤、なおかつ痴漢に間違えられたら一発で人生アウトとか、そんなのやってられなくないですか。


でも、「で、痴漢は?」って女性から言われそうですね。痴漢はどうするんだと。どうやって減らすんだと。うーん。裁判をきちんとやってくれるなら、重罪化(化学的去勢込み)してもいいと思います。それかもう完全男女別車両にするとか(LGBT云々言い出すと大変なのでおいておく。ゼロにはならないですよ)。まぁ、行為を働こうとする男性の意識に訴えるより、物理的に「できない」状況を作るほうが効果はあると思います。