すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

地獄はありやなしや

彼岸の時間―“意識”の人類学」、まだ全然読み途中なんですけど、ちょっと興味深い話が出ていたので引用します。18-19頁より。

 人間の社会に霊魂や死後の世界という観念が存在するのは、地獄や極楽といった世界を描いてみせ、功徳を積めば極楽に行き、悪行を働けば地獄に落ちるとすることで、人々の行ないをコントロールするためだ、という考えがある。しかし、死後の世界を考えない文化はほとんどなくても、生前の行ないの良し悪しで、天国へ行ったり獣に生まれ変わったりすると考える文化は、じつはあんがい少ない。
 アメリカの人類学者G・スワンソンが全世界からサンプリングした46社会の他界観を比較したところ、生まれ変わりも含めて、死後の霊魂という観念を持たない文化はなかったが、生前の悪い行いによって、死後、罰をうけるとする文化はそのうちの13社会(28%)にすぎなかった。しかも、このような観念は、ほとんどがインドやエジプトなどの、社会的階層の発達した社会にしかみられない。


「社会的階層の発達した社会」の例としてインド・エジプトしか挙げられてないのは「?」ですが、そういう傾向があるとのことです。アイヌや、アマゾン、シベリア、台湾先住民などの社会的階層が未分化なところでは、死後の世界という観念はあるものの地獄というそれはなく、現世の行いに関わらず生まれ変わる先は同じ、ということになっているそうです(生まれ変わる先は現世同等かより楽な世界、と捉えられていることが多いようで、どちらかというと天国に近いものと考えて問題ないかと思います)。

ということで、死後の世界という考え方は自然発生的なものだけど、地獄というのはより人為的に後から考えられたものかも知れないんじゃないかなー、という話でした。そんだけ。また面白そうなところあったら紹介します。