4/3の「目が覚めるといつも自分だ」というエントリについて、3人の方から4件のコメントをいただきました。うち最初にコメントいただいたMobiustmさんは、ぼくの考えには同意できない旨の内容になっています。コメントを引用しつつ、お応えしてみたいと思います。
'自己は生成したり消滅したりを繰り返している'ここが分からないんですよね...
まずここですが、そうお感じになるのはある意味当然かと考えます。なぜならぼくは、自己が非連続である理由についてまだ説明していないからです(!)。それはですね、ぼくは脳やら意識やら自己やらについて科学やら哲学やら宗教やらの何十冊か何百冊か…までは行ってるか解らないけど…の本を読み、長い間考え、やっと最近辿り着いた結論であって、まだ簡単に1エントリに要約して人に説明することができない状態だからなのです。
ただ、生成と消滅という書き方は良くなかったかも知れません。ぼくはそれを実体ではなく動きのようなものだと考えています。エンジンが回ればそこには"動き"があり、止まれば"動き"はなくなります。それを"動きが生成した/消滅した"とは、言わないですよね。この書き方のせいでMobiustmさんに、それは実体のあるものだとぼくが考えているように誤解させてしまってたらすみません。
脳科学的には(専門家ではないですが)、脳は眠っている時もいわゆるシャットダウンされている訳ではなく休止かスタンバイしていて、デフラグなどを行っているからです。さらに例え話をするなら、寝ている時に(例えば脳出血などをして)からだが麻痺していたとしても自己は連続性を持って認識されるのではないでしょうか。そのような点で意識は連続性をもっていると思います。
そうですね。しかし、眠っている時の脳は、一部は確かに働いていますが、意識(≒自己)はありません。大きな手術をするときは全身麻酔をしますが、それは痛みを感じる主体である意識を無くすためです(麻酔科医はこのことを「意識を取る」といいます)。痛みが起きるはずの状況があるのに、受け手である自己がそこにはいないのです。引用部後半の「からだが麻痺していたとしても自己は連続性を持って認識されるのではないでしょうか」のあたりは、なぜそうお考えになるのかちょっとわかりません。
私は、自己を形作るのは"記憶"ではなく"経験"であるとおもいます。主観的ないみでのウエイトが掛かると思うのです。一年前の事より昨日の事、10回目の事より初めての事、何も考えずにやった事より感情を伴った行動これらはそれぞれ自己の変化に対して大きなインパクトがあると思います。
ここは考え方の差と用語の混乱がありそうです。ぼくは、自己を形作るのは記憶で、記憶を形作るのが経験、と、こう考えています。寿司で例えると(笑)、寿司がいま口の中に入っている状態が経験で、あとで寿司の味を思い出すことが記憶です。あとで思い出す寿司の味は、実際に食べている時のそれとはまったく違うものですよね。そして経験の種類によって記憶に濃淡は付くでしょう。上の引用部でMobiustmさんが"経験"と仰っているものは、ぼくの言葉では全て"記憶"なのです。ぼくの言葉でいうところの"経験"は、たったいまこの瞬間のことのみです。記憶はログを見返すこと、経験はセンサーの値を直接読み取ること、そんな感じかもしれません。
つまり...火星でコピーらしき物を作った時点で自己の複製は失敗していると考えます。それはただ単に自分に似た何かであって自分ではなく、地球側が壊されるならその時点で私は死に私に似たそれが生きて行くでしょう。しかしそれは私と思うかもですが私ではない。
これに関しては少し異なった意見を持っていますが、残念ながらまだうまく説明できません。
とりとめがなくなっていますが、言いたいのは自己は連続性を持っているし、きっといちいち消滅生成を繰り返してはいないと考えます。
ここは、言い合ってもしょうがないですね。現在のぼくは自己が非連続である説明も証拠も提示できませんので。ただ、昔からそういうことを言っている人はいたのだ、なんといっても仏教がそうなのだ、という事実は、ぼくを勇気づけてくれます。非連続だというのはぼくのオリジナルな考えではなく、そういう考えをやっとぼくが理解できるようになった。それだけなのです。
続けて、mochiさんのコメントより引用。
ああ、もう少しでかゆいところに手が届きそう ！
ご存知だとは思いますが、このブログはひとりの人間の思考過程を
つぶさに記録した貴重な資料ですね。興味深い観察対象です。
過程、というところが重要で、何年か前から読ませて頂いていたのですが、最近の自己関係のエントリに一種の感動を覚え、思わず昔の記事を読み直してしまうと共に勢いでコメントを、し ま す！
同意いただいているので、お礼のみを。読んでいただいてありがとうございます。自己関係のエントリが自分でもこのブログの真髄(笑)だと思っているのですが、あまりに数が少ないですよね！ ノイズだらけと言うか。まぁそういうのは読み飛ばしていただいて全然構いませんので、よろしくお願いいたします。
自己の非連続性に関しては、なんとかうまく書ければいいなと思っています。かゆいところを掻けるよう頑張ります。ただ、読み手にも一種のジャンプを要求する部分はどうしてもあるでしょうね。出来る限りサポートはしたいけれども、最後の最後で飛べるかどうかは、読み手次第なんじゃないだろうか……という気がします。
で、naftaさんからも長文コメントをいただいているのですが、もうちょっと考えたり読み解いたりしたいと思うのでしばらくレスはお待ちください(笑)。これら自己関係エントリについては、いただいたコメントにはできるだけ応答したいとは思っているのですけどね。
