すべての夢のたび。

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借りぐらししてた

『借りぐらしのアリエッティ』を観てよくわからなかったことのひとつが、タイトルにもなっているこの「借りぐらし」ということばだった。

ナウシカは、わたしは風の谷のナウシカ、なんて自称してなかったんじゃないか、と思う。たぶん。もう忘れた。ポニョは自分で「崖の上の!」って言うんですかね。観てない。でもアリエッティは、借り、って言うんだよね。借りをして暮らしている、と。

この"借り"ってことばがひっかかったのです。"狩り"と掛けてもいるんだろうけど、発音は"借り"だったし。でも"盗り"に見えたんだよね。借りたものなら返すよね。けれども床下の小人たちには、そんなふうな感じはない。本編にもそういった描写はなかったし、たぶんアリエッティたちは、恩返しみたいなことをしはしないのだろう、と思う。

ではなぜ"借り"なんだろう、と、んーと考えて、お祖母ちゃんのことばが思い浮かんだ。これはぼくのお祖母ちゃんではなく、智の象徴としてのお祖母ちゃんだ(偉いお坊さんでもいいのかもしれない)。それは、「人間は自然からいろいろなものを借りて生きているんだよ」ということだ。

ぼくが持っている、ように見える、もののなにひとつとして、真の意味でぼくの所有であるものはない。あの世へは持っていけない。ぼくが死んだら捨てられたり燃やされたりする。あるいは誰かの手に移っていく。やがて人類が絶滅すれば、人間が自然から借りてきたすべてのものは、いつか自然に還る/返されていく。

床下の小人たちも、そういう思想/気分なんじゃないだろうか、と思った。そも、「借りる」の対として「貸す」がある。借りたものは誰かが貸したものなのだ。しかし通常「貸す」には貸す側の意志の発動が必要とされる。それなしに貸してくれるのはただ自然だけだ。いや、意思の疎通ができないものが自然と呼ばれるのだろう。小人たちも、人間を自然の一部だと見なしていたのだろうと思う。アリエッティも翔と言葉を交わすまではおそらくそうだったのではないか?

そのように考え、"借り"については納得した(そのうえ、公式サイトに概ね同じ意味のことが書かれているのをいま発見した………)。だがまだわからないことがあるのだよ。翔の「君たちは滅びゆく種族なんだよ」ってセリフだ。おまえ唐突だろ。中二病か。ここだけいつものジブリか。ともかく、関心がある異種族の異性に対して言うことばじゃあないよなぁ!