今日はこんな本。ぶっちゃけ本買いすぎかも知れません。
- 作者: マーク・ブキャナン,阪本芳久
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2005/02/25
- メディア: 単行本
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有名な話ですが、地球上の全てのひとは、「知り合いの知り合いの……」って辿っていくと、6人目くらいでつながってしまうらしいです。これを「6次の隔たり」(six degrees of separation)と言うのですが、そういった「ネットワーク科学」の原理について解説した本です。かなり最近になって注目されはじめた数学の分野だそうです。
まだほとんど読んでないのですが、読み進むまえにちょっと考えてみます。
まず思うのが、「ほんとにそんなに少ないジャンプ数でつながるの?」ってことでしょう。ちょっと検証してみます。仮に、わたしに知り合いが100人いたとします。知り合いにもまた100人の知り合い、とすると、「3次」(知り合いの知り合いの知り合い)でもう100万人、大都市でもカバーできそうな数です。5次で100億人、たしかに地球の人口をカバーできます。でもこれは超理想的なケースで、実際の世界では「カブってる知り合い」が多くて、こんなにうまくはいかないはずです。
そこで、以前に交通の経路探索ソフトで遊んだときのことを考えてみます。初めて使用したときは、これこそコンピュータの仕事だよなぁと、いたく感動したものです。自宅から日本中のいろんな場所への経路を表示させて遊んでいました。ですが、すぐにあることに気づきます。ちょっと離れた場所を指定すると、「経路の半分が固定化する」、つまり「自宅から羽田空港までの経路がまず表示される」のです。それはまぁ、当然と言えば当然です。誰だって出かけるならまずターミナル駅に出る、路線バスの乗り継ぎで移動しようなどとはふつう考えません。
「6次の隔たり」で世界がつながるマジックも、おそらく同じような原理と思います。「知り合いネットワーク」にはきっと「大動脈」があって、そこにつながるアクセスパスが重要なのです。わたしは自分の勤務している会社の社長も知りませんが(笑)、もちろん自分の所属部の部長とは面識があります。わたし→部長→社長、これで2次。社長は「親会社の社長」とは当然知り合いでしょう。そして、親会社の社長→別の子会社の社長→別の子会社の部長→誰か、と考えれば、このグループ企業の従業員同士はすべて「6次」でつながっている、ということになります。
「親会社の社長」は、おそらくいろんな会社の社長さんと知り合いでしょうし、海外にも知り合いがいるでしょう。こんな「社長ネット」のほかにも、研究者ネットや、ミュージシャンネット、スポーツ選手の「ファン」のネットなど、そういった「大動脈」が地球を覆い尽くして、世界を意外と狭くしているんだと思います。わたしと、アマゾンの奥地の原住民の「誰か」も、わたしのほうからは大学講師の知り合いや放送局や雑誌編集部の知り合い、「誰か」のほうからは村長さん→観光ガイドや人類学者や海外青年協力隊の人(?)みたいに、両側から線が伸びてきて、きっとどこかでつながるのでしょう。というか、わたし、インドに旅行したときに、タージマハルのそばの土産屋の店員と仲良くなって住所書いてもらったので、わたしと知り合いのひとは「知り合いの知り合いにインド人がいる」って言っていいです(笑)。逆に考えれば「知り合いの知り合いなんて、もう他人だよなぁ」ってことにもなってしまいそうですが。
ネットワーク科学ってのはこんなような原理なのではないかと予想しているのですが、さてどこまで想像どおりか? 「6次の隔たり」に類した原理は、生物の脳のニューロンのつながりかたや、インターネット、病気の感染経路やホタルが同期して光る現象など、自然界のあらゆる場所に見いだすことができるそうです。この本を読み終えて新しい発見があったら、またそれについて書きたいと思います。