すべての夢のたび。

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受動意識仮説について

9/14のboilednepenthesさんのコメントで紹介されていたページで、自由意志が話題にされていたので、ちょっと思い出した話を。

以前に『脳はなぜ「心」を作ったのか―「私」の謎を解く受動意識仮説』という本を買ったのですが、そこに興味深い実験が紹介されていました。著者の前野隆司さんのページから引用します。

これに対し,1つの面白い実験結果がある。人が指を動かそうとするとき,脳の中の,「動かそう」と意図する働きを担う部分と,筋肉を動かそうと指令する運動神経が,どんなタイミングで活動するかを計測したカリフォルニア大のリベット博士の実験だ。結果は実に意外だった。筋肉を動かすための運動神経の指令は,心が「動かそう」と意図する脳活動よりも,0.5秒も先だというのだ。常識的に考えると,まず人の心の「意識」が「動かそう」と決断し,それにしたがって体が動くと予想されるのに,結果は何と逆なのだ。


こんなことは書くまでもなく当然ですが、わたしたちは、ふつう、「指を動かそうと意図するから指が動くのだ」と考えています。でも、脳の活動を外部から観測する限りでは、逆なのです。指が動いたあとに、動かそうと意図する(というか、意図した、と感じる)。リベット博士のこの実験は何度も追試されており、実際に運動神経が先に活動することはそこでも確認されているようです。

で、この実験結果を素直に考えると「自由意志は幻想だ」ということになります。これが前野さんの主張、だと思います。脳の中で自立的に活動する複数の小人さんたちの報告を受けた“意識”が、それを忘れて「オレが考えた!」と言っているにすぎない。あまりに突飛すぎてにわかに受け入れがたいのが、この実験がそれほど知られていない理由ではないかな〜?なんて思ってしまいます。まぁ、解釈の余地はいろいろあると思うんですが。