すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

一昨日の横浜トリエンナーレ日記

じっさいのところ、現代美術の見方など知らないのですが、見るのは好き、ということで行ってきました。


東京駅から東海道線で横浜、新しくできた「みなとみらい線」で数駅さきの終点、元町・中華街駅へ。みなとみらい線は、どの駅もデザイン性が高い感じで、よかったです。終点の元町(ry駅なんて、贅沢すぎる空間使いというか、ふつーの地下駅のトンネルの3倍くらい直径ありますよね、あれ。天井高いし。なんか、建設費節減とかで駅も電車も狭くて息苦しい都営大江戸線はかっこわりーなぁ、と思いました。

で、改札を出て地上にあがると、どこに出たのかわからない。出たところに案内でもあればいいのに……と思いつつ、なんとなく人の流れる方向へ。マリンタワーが見え、やがて山下公園でした。ここまでくれば看板が見えてきて、会場はこの先だとわかります。昨日の写真のコンテナでチケット(\1800)を購入し、埠頭の岸壁部分、紅白旗の回廊(このへん、すべて呼び名は適当です)をえんえんと、埠頭先端部の倉庫へ向けて歩きます。生まれてからずっと東京の湾岸部で暮らしていた自分には懐かしい風景です。

会場は、思いっきり倉庫です。あんまり、ほとんど、装飾とかない。倉庫2つをパネルなどで区切ったり区切らなかったりして、いろいろな展示をしていました。倉庫と倉庫の間(「ナカニワ」と呼ばれていた)では、演奏やダンスなどをやってます。自分が見たときは、テルミンでした。想像していたよりずっとちゃんとメロディを奏でられるものなんですね。


展示物の感想として、

  1. ビデオ映像を使ったものが多い
  2. 見る側の参加を要求するものが多い

という印象でした。んー、数から言えばそうではなかったのかも知れないけど、そういうのが気になった、ということで。ビデオ系作品は、どうなんでしょうか。描け!彫れ!とは言わないですけど、そういう、作品の成立がメディアに依存するようなもの(DVD再生機器がなくなったらどうすんだ?)とかは、やっぱり絵や彫刻のようなものとは訴えたいものが違うのかな?と思います。あと、受動的に見るばっかりじゃなくて、触れたり、試してみたり、作品づくり自体に参加させられるものとか。もうそれはパフォーマンスじゃないの?というのもありましたが、別に区別する必要もないんでしょうね。


以下、面白いな、と思ったもの。

三脚の上に、デジカメ2つや、携帯電話2つ、立体視用スコープを乗せてある。そういう三脚がたくさんあるスペース。これは会場の数ヶ所にありました。覗き込むと、例えばデジカメや携帯は、動画を再生しています。そこには、そのデジカメや携帯が向いている方向にもともとあるものが映っているのですが、そこにないものも映し出されているのです(回転する、ある物体)。スコープのほうも同じ物体が映ってます。これはなかなかよかった。スコープを覗き込んだ人が「え?」という表情をして顔を上げて、またスコープを覗き込む。そういう光景が何度も見られました。

ひとめ見て「あ、はりつけだ」と思ったもの。写真参照。大きなモニター3つが、壁の上のほうに取り付けられています。中央は、頭部。苦悶の表情ではないですが、右手の方を見たり、左を見たり、物思うような表情になったりします。左右のモニタは、それぞれの手。ここに、少しずつ、メスで文字が刻まれていきます。(ほんとに切ってるので、血がにじんでくる) 刻まれるメッセージにももちろん意味があるのでしょうが、切る、というインパクト自体が大。特に女の人は眼をそむけることが多かったです。この作品は、じっと見てて、制作工程がわかった。

100均絵画。巨大な箱の中に人が入っているらしく(見えない)、100円を入れて、中へ通じているパイプで欲しい絵の種類(メニューから選ぶ)を告げると、しばらくして、箱の下の方から絵のようなものが出てくる。おじさんおばさんチームのおじさん1人が試してみて、出てきたものを見て「絵を馬鹿にしている!」とプンプン怒ってました(ある意味正しいんでしょうが)。絵は乾いてないので持ち帰りが大変そうでした。

天使探知機。一発ネタっぽい。ふと会話が途切れることをフランスでは「天使が通った」というそうですが、それを元にしたもの。完全無音になると灯りがともる、ガラスのドーム。展示されてる部屋の中で20分くらい座って見てましたが、ついに1度も点灯しなかった。出入り激しすぎ、会場うるさすぎ。ほとんどの人は、部屋に入ってきて1分も座ってられません。というか、自分はこんなふうに、展示物を見る他人を観察してるのが多いような。

エジプトの訴え。3-40年前のあるエジプトの映画、映画の題材はさらにその3-40年前のエジプトで、とあるエジプト人(≒アラブ人)が「うちら白人に搾取されまくってねえ? このままでいいの!?」と訴えるような独白シーン。数分あるそのシーンのセリフをまるごと暗記して、現在のエジプトのカフェで再現(周りはふつうの客)。それを撮影。渋い顔をしながらも無言の客たち。それを元の映画のシーンと並べて上映。はるか昔の問題が現代でもまったく解決されていないことを示した、らしい。というかこういうのはもうアートなのかなんだかわかりませんが。


ほかにもあれこれ見ましたが、2日たった時点でぱっと思い出すおもしろげなものはこんなですか。1000円のアート即売とか、会期中えんえん似顔絵描きとか、えんえんぬいぐるみ作りとか、万博かよ?みたいに並んでるやつとか(見れなかったので不明)、アートだと思ったら「アーティストの休憩用テーブルが散らかってただけ」とか、いろいろでした。

そしてみやげを買おう、と思ったら村上隆。なんで参加もしてないのにグッズだけ売りますか?って見たら、売店の運営がまた「森」でねー。ほとんど六本木ヒルズ内のミュージアムショップとおなじもの売ってました(さすがにダ・ヴィンチ展のパンフはなかったけど)。萎えてなにも買わないで退出。そんなで、もう日も暮れてたので、せめて中華街でも寄りたいと思ってましたがそのまま帰宅しました。