すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

オタクは2択

ぼくの奥さんはかわいい。美人である。なんで臆面もなくそんなことを言えるのかというと、客観的事実としか思えないからだ。たとえば、2人で街を歩いているとよく彼女がカットモデルに誘われるシーンを目撃するのだけど、つまりは隣の男が連れだと思われていないのだろう。喫茶店のトイレから出てきた彼女と入れ替わりに入ろうとしたおばさんが「あらぁ、芸能人のヒトかと思ったよ!」とか言うのを聞いたこともある。そして、やたらこの人はモノをもらう。美術展のチケットを買う列に並んでいると「余っているから」と知らない人にもらってしまったり、映画の券をもらったり、店でマケてもらったりオマケつけてもらったり、やたらとしている。目立つ、のだと思われる。一度行った店ではたいてい覚えられているようだ。またあるとき、社内のイベントで社員が家族連れで旅行へ出かけたことがあった。その時行かなかった部長が、あとで張り出されたぼくの奥さんの写真を見て「これは誰?」と言うので、後輩が「○○○さんの奥さんです」と言うと、「え……」と絶句していた。ぼくと写真の間をなんどか目を往復させながら。

そんなふうだ。美人であり、かつ、客観的に見てぼくと釣り合うレベルではないらしい。そんな人となんで結婚できたのかというと、彼女からアプローチされたからだ。しかもあとで聞くと「顔で選んだ」と言っていた。ちょっと変わった趣味をお持ちのようである。というわけで、「オタク男でも結婚できる。ただし、運が必要」という、まったくなんの役にも立たない実例がここにひとつ存在する。


ぼくの奥さんは美人であり、かつ、一般人である。というか、オタクが嫌いである。あるとき、某PCショップに連れて入ったのだけど、息を止めていた。さすがにずっと止めているのは無理だったらしく、そのうち浅く口で呼吸をしているのを見た。そんな人となんで結婚できたのかというと、ぼくがオタクである事実を隠していたからである。同居するまえにPC以外のオタク系アイテムはほぼ全部処分していたし、結婚後もふつうの漫画以外ほとんど買わなかった。真のオタクではなかったということかもしれないが、ないならないで済むものだ。それってズルくない?という意見もありましょうが、彼女も××××であることを隠していたので、まぁおあいこである。

ぼくは面食いである。だから、彼女からアプローチされたことについては「こんなチャンスは二度とない!」と喰らいついた。ぼくだって身の程は知っているし、こういうのは極めて希なケースとわかっていたからだ。通常はオタク男には選択肢は2つしかない。「並の一般人」か「腐女子」だ。「趣味嗜好の一致」と「見た目」と、どちらをあきらめるか、という話だ。かわいい腐女子(または、カッコいいアニヲタ)というのは、存在しない。ぼくは「腐女子」には容姿性格を含むと考えている。もし性格がまともなら、それは「腐女子的嗜好を持つ、ふつうの女子」なのであり、そしてたいていは、性格がまともなら見た目もまともである。腐女子は腐女子であり、アニヲタはアニヲタであり、人は見た目である、とぼくは考える。見えもしない中身などを判断基準にしたりはしない。中身は外見にきっちり現れるものだ(当然、ぼくも例外ではない)。繰り返すよ? 中身ではない。中身で判断してくれよという願望じたいが既にさもしいのだ。


そんなふうで、ぼくは面食いであるゆえ外見を取った。そして失敗した。そしていまはひとり暮らしをしていて、趣味に金を使い放題である。世の中何が幸いするかわからないものだ。