すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

オタ服VS服オタ

例外的なものをどれだけ積み重ねたところで普遍には至れない。この話からはなんの教訓も引き出せない。だから、ネタとして読んでください(事実なんだけど)。


さて。ぼくの奥さんはかわいい。美人である。ということは前に書いた。そこに付け加えるにお洋服が大好きでいらっしゃる。会社勤めをしていたころは、自宅通勤なのをいいことに、給料の大半を服に突っ込んでいたらしい。結婚して引っ越したとき、新居にあった押入れ3つ全てをクローゼットに改装する案を業者に出していたので、さんざん話し合いをした結果、2つに留めることができた。そこに彼女の実家から大量の服(の一部)が運び込まれた。その押入れ改クローゼットから、週末のたびに違う服が出てくるのだ。死んだら棺桶に詰めて一緒に燃してくれ、という。馬鹿な。入りきるものか。だいいち詰め過ぎた服のせいで遺体が燃えなかったらすごい嫌だし、なんか有毒ガスとか出そうだ。「んや、フリマで売る」と言うと、本気で嫌がる。自分は古着をけっこう買うくせに自分の服を売ろうという考えは毛頭ないらしい。売るくらいなら捨てて欲しいそうだ。王女のようだ。

ぼくの奥さんは働かなかった。結婚前は「家事手伝い」だったけど、結婚したら働く、と言ってたのに、だまされた。くやしいので、年末調整の書類の「配偶者の職業」欄はいつも「無職」と書いてやった(そもそも「主婦」は職業なのか?)。しかし無職だけど服オタなので服を欲しがる。月に2-3冊もファッション誌を買う。スケッチブックにファッション画(購入を想定したアイテム込み)みたいなものを描き、押入れクローゼットから服を取り出してはひとりファッションショーを始める。それはどういうわけか大抵夜中である。寝ろ、と思う。「どうかな?」じゃない。夜は寝るんだ。そんなふうなので、服屋の前を通るときは、ショーウインドウから離れる方向に手を引っ張って足早に通り過ぎるしかない。「あー!(いま可愛いのあったー!あったよー!?)」とか言い出される前にである。しかし、それでも言い出してしまったら、仕方ないので本気度を確認する。それは、ぼくもオタクであるゆえ、「ほんとうに欲しいものであったら後先考えずに買うべきだ」という論理が身に染みついているためだ。どうしても本気そうなら、泣く泣く買う。甘いなぁ、と思うが、金でカタがつくのなら楽な話だ、とも思う(と思って自分を慰める)。


そんな彼女にずっと付き合ってきた。が、ぼくのファッションセンスが向上したかというと、うーんどうなんだ。どうなんでしょうか。彼女は、上は1つ数万のアイテムから(んなもん買わされてたわけよ!)下はユニクロまで、わけへだてなくなんでも着る(そこはいいと思ってた)。万単位のアイテムなら、その店は当然レディースの専門店なので、ぼくはすることがない。店内をうろうろし、「うわったけえ!」「これもたっけー!」とか思って、すぐ飽きて、(どんなのを選んでくるのか恐怖しつつ)「決まったら呼んでー」となる。しかしそれがユニクロだったり無印だったりGAPだったり、ビームスやUAだったりするなら、ぼくもメンズの売り場を見ていられる。で、これとかどうだろう、と思ったのを彼女に見てもらう。それは「まぁいいんじゃない……」だったり、ふらふらと倒れそうにかすれた声で「それだけはやめなさーい……」だったりする(彼女に直に見繕ってもらうと、たいてい「とんでもない!」ものになる)。最初は基準がさっぱりわからなかったが、それでも付き合っていくうち打率は向上していた。センスは生まれつき/補うことはできる/しかし時間はかかる、ということなのだろうな、と思った。言葉にできるような「学んだこと」は実は少ない。しかし、自由なものを着ていいんだということ(特に、色)、そして、高い服は作りとかやっぱりいい、ということはぼくにも理解できた。高い服は身を護ってくれる感じがする。それは服に着られてる、と言われるかもしれない。いやしかし、実際に背筋は伸びるし、自信が態度に現れる。やりあえる、感じがするのだ(誰とだ)。


今朝、7-8時台に彼女から数度電話があった、らしい。寝てた。起きてから掛け直すと、○○○がセールだったので誘った、ということだった。始発で行って並んだらしい。それなんてコミケ? 開場ダッシュして、福袋をゲットしたようだ。10万円分も入ってたよー!とか、戦果を嬉々として報告してくれる。まったく、人の送ってる生活費でいい気なもんだ。じゃないや。オタクの人って可愛いですよねー、です。