円周率の各桁の数字の並び方が完全にランダムであるとした場合、円周率が自由意思を持つ可能性について考慮しなければならないかも知れません。
http://d.hatena.ne.jp/rulia046/20060710/p1
"777777"という、7が6個続く並びは、100万桁までのうちにあるそうです。たとえば、先日の棒メディアのエントリでは"michiaki"という文字列を"109105099104105097107105"というアスキーコード（10進）の並びに変換してみましたが、この並びも同じように円周率をどんどん追っていった先のどこかに出てくるはずです。
さて、あなたがいま見ているこのブログです。当たり前ですが、わたしがエントリを書いてからあなたの見ているディスプレイに表示される前に、完全なデジタルデータに変換されるプロセスを経ています。つまり、このブログはコード化されている、数字の並びとして表すことが可能、というわけです。たとえばこのエントリのHTMLも、コンピュータ内部では「ただの巨大な2進数の数値」として扱われていると言ってもよいでしょう。ならば、やはり、円周率をずっと追っていけば、このエントリのHTMLと同じ並びが必ずどこかには出現することになります（ゼロとイチの並びのままでも、それを10進数に変換した数値でも、どちらでも）。
そしてあなたはこのブログを書いているのが自由意思を持つ人間だと思っています。でも本当にそうでしょうか？ このブログの読者のうち、みちアキの中の人に会ったことがあるのは（「メイドさん」はじめ）数人だと言われています。しかしそのことさえ、その人たちさえ、このブログの作者の創作である可能性は排除できません（そもそもメイドさんからメールをもらったりできるのか？とか）。だってあなたは、文字を、デジタルデータを介することでしか、みちアキと接触することはできないのですから。そして、これらの文章と、円周率のどこかに現れる数字の並びの間には、本質的な相違はなにもありません。このブログの背後になんらかの自由意思の存在・関わりを認めるなら、あなたは円周率に対してもそれを認めなくてはいけないことになります。
いや、「ただのHTML」と「実際にブログが書かれること」は違う、とあなたは言うかも知れません。でも、たとえば時刻情報であってもコード化できるのですから、この文章が何月何日何時何分に投稿される、という情報付きで数字が並んでいる箇所も見つかるはずです。コメントやトラックバックで反応が変化するとしても、それは変化するように見えているだけで、実は投稿された固定の文章が（極めて低い確率で）うまくハマって見えているだけなのかも知れないし、もっと言えば、こういうコメントをもらったらこう返す、というプログラム付きでコード化されているのかも知れません（どんなプログラムであっても2進数で表現できるので、円周率の中に見つかるはずです）。あなたのコンピュータから伸びるケーブルは先をずっと追っていくとはてなのサーバを通ってやがて、ひたすら円周率を計算してそこに出てきた数字の並びに沿ってデータを送り出すだけの機械、につながっているのかもしれないですよ。
というわけで3択（3択好きだな）。
- 円周率は自由意思を持つ。
- 円周率は自由意思を持たない。自由意思は人間の中のデジタルデータ化できない部分に存在する。
- 円周率は自由意思を持たない。他人の自由意思はそれを解釈する私の頭の中に存在する。
（しかし世界のうちに「デジタルデータ化できない部分」なんて存在するんだろうか？）
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まぁ、上で書いたようなものの見方はちょっと過激です。もう少しおとなしく、というか普通っぽくすると、「コンピュータは意識を持てるのか？」ということになります。ぼくは「持てる」という側に立ちます。たとえば極端に活動能力の低下した人、筋肉を動かして「ハイ」「イイエ」しか伝えられず、しかも病室の壁の向こうで姿を見ることができない、という状態を考えるなら、彼／彼女の送り出す情報はデジタルデータそのものであり、従ってコンピュータによって模倣が可能、であるからです。ハイイイエしか言えないとしても、そのことをもって「人間性がない」とは言えないでしょう？（←ずるい言い方） 同じように、「ネットでのコミュニケーションはリアルのそれに劣る」という類の物言いにもぼくは与しません。だって現に、何らかの事情で動けない、人前に出られない、コンピュータを使ってネットを介することでしか人とやりとりできない人、が存在することは想像可能ですから。そういう人に対して「あなたはもう他人と同じようには人とはつながれないのだよ」とは言いたくないですしね。
