すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

ばななで釣れますか

ぼくが読んだことのあるよしもとばななの小説を数え上げたら10冊程度になった。好きな作家、と言っていいと思う。でも、最後に読んだ小説は2000年頃発表されたものだ。その頃の何冊かの本が、なんだかどれも同じような展開で同じような場所に落ち着く話ばかりに思えて、これならもう読む必要ないな、と思って止めたんだった。小説はそれ以来読んでいない。

エッセイも、初期の何冊かを読んだ。こちらはどれも面白い物ばかりだった。彼女はとにかく、人の良い部分を褒めるのがうまい。ミュージシャンやアーティストやその他有名人、有名でない人を、こんな褒め方があるのか!ってくらいのあらゆるバリエーションで褒めまくる。すぐ影響されてCDを買ったり作品を見に行ったりしていた。

そういう彼女の「いいときの」エッセイを知っている(いや、最近のは読んでないから知らないだけですが)自分には、件の居酒屋話の「もしも店長がもうちょっと頭がよかったら――」のくだりは、ちょっと、あれ?と思いましたね。むかしってここまで書いていたっけか……みたいな。

でも、y_arimさんのはてなハイクでも取り上げられていましたけど(ていうか先に書かれてしまったけど)、よしもとばななは、初期からそんな空気はあったんですが、ある時点からスピリチュアル臭を作品中でも包み隠さず振りまくようになってきていたわけです。


光のアカシャ・フィールド 超スピリチュアル次元の探求

光のアカシャ・フィールド 超スピリチュアル次元の探求

ぼくがいちばん最近買った彼女の本がこれです。居酒屋話の載ってるエッセイ集より新しい。これは、ゲリー・ポーネルという、アカシックレコードを読んだりチャネリングをしたりする人との対談本です。そこから、彼女の、というかスピリチュアルっぽいものの考え方が解る部分をちょっと引用してみる。118P。

よしもと 読者にも一般的にも一番言うのが難しいなと思うのは、人間とはどうしてもよい振る舞いとか、悪い振る舞いとかいうふうに思ってしまう傾向がある。それは絶対違います。つまり、そのときのその瞬間の自分に正直かどうかです。


この手の思想がバックグラウンドにある、ということを考えつつ読むと、「もしも店長がもうちょっと頭がよかったら」以下の部分も、解釈が変わってくるかもしれない。多分、店長は「馬鹿」だというより、「目覚めてない人」として捉えられているんじゃないかと思う(ある意味、余計に失礼かもですが)。そしてもちろん彼女はいつも自分に正直なんだろうなと思う。

先の本からまたちょっと引用してみます。これでもおとなしい部分です。


28P、転生とかふつう。

ポーネル ええ、もしあなたが、あなたの人生の責任をすべてとっていくなら……、そうしたら、本当になりたいもの何にでもなれます。そして、たくさんの転生の中で培ったすべての能力のドアを全部開くことができるでしょう。
よしもと でも、私の転生なんて大体いつも妖怪と過ごしたり、お坊さんと過ごしたり、おもしろくないですよ。
ポーネル でも、それって、全転生の多分10%ぐらいじゃないかな? あとの90%は違うでしょう。
よしもと 今、切実に思い出せるのはそれぐらいですね。
ポーネル でも、イタリアの、ルネサンスのときを覚えているでしょう。
よしもと ちょっと覚えています。懐かしいなと思う場所はいっぱいあります。


70P、宇宙人も見たし。

よしもと ほかの星のひとたちは、地球にいて、私たちにまざって暮らしているんですよね。居心地が悪いということはないのかしら。
ポーネル 僕は彼らに会っていないんですが、東京にもエイリアンたちが歩いているということは教えてもらいました。ただ、渋谷にはいなさそうです。渋谷こそ自由にエイリアンたちが歩ける場所なのにね。ほかにもロンドンのピカデリー・サーカスとかロスのサウス・セントラルとか。たとえ頭からアンテナが生えていても、それはファッションで、おもしろいアクセサリーだと思うから。
――よしもとさん、どこかで見たんですよね。
よしもと 池袋です。
――足が見えないくらい速かったんですよね。
よしもと 階段を三段跳びで。でもジャンピングじゃないんですよ。足がギューッと短くなったんです。
ポーネル すごい。どう感じましたか。
よしもと ジーッと見ました。
ポーネル 怖くなかったですか。
よしもと 怖くはなかったです。しばらく後をつけてみたりしたんです。普通にスーツを着て、バックパックを背負っていました。きっと宇宙人だと思います。
ポーネル 僕は、いるなと感じたことはあります。でも、どこにいるんだろうと思って振り向いてみると、いないんです。
よしもと 見つかりそうだと感じたら、きっと逃げちゃうんでしょうね。
ポーネル きっとそうですね。


ぼくは元々わりとスピリチュアル寄りの人なのですが、何年か前に書店のそういうコーナーで彼女の名前を見つけた時はさすがにびっくりしましたね。「うわほんものだわこのひと……」みたいな。カミングアウト?することにしたんだ、って。そういうのを知っていると、今回の居酒屋の件とか、いやいやそんなもんで驚いてる場合ではないぜー、と思う。宇宙人に人脈あるかも知れんし。