すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

「死ぬな」「殺すな」

http://d.hatena.ne.jp/./madness/20050420

面白い記事なのになんでコメント付きませんか? わたしにとっては、こういう問いだけが真に考えるに値します。中国問題とかほんと、心からどうでもいいです。


「例の事件」のほうが時間的に先に考えられたようなので、わたしもそちらからコメントさせていただきます。

まず、わたしは、“死”をぜんぜん恐ろしく感じません。死ぬのが怖い、ってひとがよくわからない(死にともなう痛みや苦しみは嫌ですよ? でも死自体に恐怖はまるで感じない)。こういう人には、死刑は意味がないですね。

死刑が極刑でないとしたら、わたしにとって極刑とはなんだろう? 痛いのは嫌だから、こうかな。「この注射をすると五感を剥奪され、寝たきりになる。ただし意識は途切れない。そして薬による人工的な歯痛の激痛のみを死ぬまでの数十年感じ続ける」 これは嫌だ、避けたい。こんなのが極刑として、なおかつ極刑に相当する犯罪を行わなければいけないとしたら? 簡単です。自殺の準備をしてから事に当たるでしょうね。

こんなふうなので、死が怖くない人とか死を覚悟してる人には、死刑であれ別の極刑であれ、抑止力としてはぜんぜん働かないんですよ。凶悪犯それぞれに“極刑”をコーディネートする意味もないです。一部であれわたしのような人がいるのは間違いないので、「全てを押さえ込む巧いアイディア」はないんじゃないかと思います。


で、「自殺の止め方について」です。まず自殺っつーと思い出すのが哲学者の中島義道さんの本『どうせ死んでしまう……』。*1

なぜ死んではいけないのか。答えは唖然とするくらいない。なぜ自殺してはいけないのか、ぼくにはわからない。生きていることが辛い、これからますます辛くなるだろう、ときみは言う。そのことはどこまでも真実だから、「そうではない」とぼくは言えない。ぼくはただ沈黙して、きみが死なないことを祈るだけだ。なぜか。なぜならぼくが悲しいから。そうだ、それだけなのかもしれない。それで十分ではないか。きみが死んだら、ぼくは悲しい。だから、死んではいけないのだ。

「先生。
 どうせ死んでしまうのに、
 なぜいま死んでは
 いけないのでしょう?」

本のオビの裏の言葉と表の言葉です。よい。

自殺しようとしてる人を止めるのが困難なのは、madnessさんの記事でほぼ言い尽くされてます。つまるところ「それがわたしに何か関係あるの?」になってしまう。家族が悲しむ? 友人知人が悲しむ? んじゃ家族も友人知人もいない人は自殺オッケーなのかなぁ。

ネットでほのめかしたりする人はまだ止められる見込みがありますね。わたしが本気で自殺するなら、誰にもそれを知らせず、ひとりでやります。最近blogが更新されないなぁ、とか、人はそんなカタチでずっと後で知ることになります。

実際のところは、「自殺者を止める言葉がない」んじゃなくて、「“なぜ自殺してはいけないのか”に対する回答がない」ということだと思います。わたしは自殺肯定派です。というか、最後のオプションとして自分には自殺という手を残しておきたいから、人に対してもやめろとは言えないなぁ、って感じです。なんで自殺がいけないんですか? 多くの言説は、お神輿の担ぎ手が減る(=重くなる)って言ってるようにしか、わたしには聞こえない。そんなの祭りに参加する気がない人には関係ないなぁって気がします。

たぶん、殴るしかないでしょうね。殴って止めるのは止める側のエゴです。でも、それでいいと思う、死んで欲しくないのなら。そこまでやらないのなら仰るとおり、所詮他人事ってことです。


そんなわけで、凶悪犯罪の抑止も、自殺の抑止も、わたしにはインスタントな答えは見つかりません。でもわたしはこんなふうに(今のところ)犯罪にも手を染めず自殺もせず生きてる。それは、この世界がわたしにとっていい世界だからです。美しいものがあること、嬉しいこと楽しいことがあることを知ってる。美味しいものや気持ちいいこと、不思議なものや感動することがあること、あったことを知ってる。そしてそれはきっとこれからもあるし、そう信じられる。だから生きていけるんだと思う。もちろんいいことばかりでないのも知ってますよ? ただ、良い記憶の多い少ないが、ギリギリの時に判断を左右することはあると思います。

だからもしできるとしたら、すごい月並みなんですけど、この世界がいい世界だってちゃんと教えてあげるくらいしかないんじゃないでしょうか。言葉で教えるんじゃなくて、実際にそう感じさせないとだめです。ほんとうはいい世界じゃなくっても、なんとかしてだますのだって構わないと思う。もうほんとありきたりなこたえでごめんなさい。けれどイラクなんて遠くまで行かなくてもいいんです。全ての人が身近な人に優しくできればそれだけでいい。大甘? そんなに外した回答じゃない(どころか唯一の解かも知れない)とわたしはおおまじめに信じてますけどね。

*1:

どうせ死んでしまう・・・・・・私は哲学病 (私は哲学病。)

どうせ死んでしまう・・・・・・私は哲学病 (私は哲学病。)