すべての夢のたび。

1日1記事ぐらいな感じでいきたい雑記ブログ

深海5000

結婚情報サービスとかお見合いサービスとか、なんていうのかよく知らないけどそういうものに入ったのは社会人になってすぐ、20代前半のこと。つまりぼくは自分に見切りを付けるのがわりと早かったわけだ。


そこは、そういうサービスを提供する会社としてはごくふつうのところで、2年とか期間があって、毎月3人を紹介してくれる、ということになっていた。入会時に学歴やら収入やら趣味やらの自分のプロフィールをまず登録し、性格判断みたいのもやってそれも登録され、希望する相手の条件を出し、月1でマッチングして相性のいい相手3人のデータが封書で届く、というものだ。双方がOKすれば実際に会うことになる。

ぼくは、自分のプロフィールは正直に申請し、相手の条件はごく低めに申請した。自分に自信がないので、つき合ってくれる女性がいるとはとうてい思えなかったからだ。子連れOKとか無職OKとか年齢10まで上でOKとか身長とか体重とか。カウンセラーのお姉さんに「若いのに、そこまで妥協しなくてもいいんじゃない?」と心配された。が、そのままやってもらった。(この種のサービスはどうも女性は自分より上の条件を出し、男性は同じか下を出すものらしい)

で、月に3名の紹介がある(が、ときどき、「マッチしなかった」とかで2名の時もあった)。ここで気に入った相手がいればOKの返答をするのだけど、まぁたいていは相手がOKしないので会うには至らない。実際に会ったのは3人だけだった。


1人目。年は3つくらい上。メガネ。髪編んでる。田舎から出てきてずっと紡績工場の寮で住み込みで働いていて、休日もほとんど外出しないという。それはいったいどこの女工哀史か。そして冬のコートの下からのぞく手、手の甲のとこ……みっちりとなんかできものが。ぐ。

2人目。同じ年。ちみっちゃい。視線が合わない。ぼくの背後あたりをずっと見ているように見える。会話も合わない。自分は何度も何度も誘われている。以前会った人は高級レストランに誘ってくれた。その前はベンツに乗せてくれた。と、最後までそういう話しかしなかった。

3人目。これも年は3つくらい上。メガネ。小太り。話題に品がない。初対面でいきなりこちらの体を触ってくる。それも手を握るとかではなく、猫にするように喉をごろごろやるとか顔を触るとか。


1人目2人目はそのときっきり。相手のお気に召さなかった、のだろう。3人目は何度か向こうから電話が来たけど、「なんでそっちから連絡くれないの? 他に好きな人でもできた?」と言うので、うんまぁそんなとこ、と返したら、それで終わった。


ここらで悟った。ぼくには博愛の心の持ち合わせがない。誰でもいいとか嘘だ。無理でした、と。


そのお見合いサービスは会社の主要業務ではなかったらしく、「事業整理に伴い」とかで、ぼくが入会して1年で終了になった。会員は希望すれば他社のサービスに移行できるということだったが、ぼくは手続きをしなかったので、そのまま退会になった。会費を一括で払い込んでいたので残額が返金され、けっこう嬉しかったことを覚えている。


こういったサービスはだいたいそうなのだが、相手の写真はセンターまで行かないと見れなかったり、見るのが有料だったりする。3人とも写真見てたら会わなかったと思う。