今日買った本で、まだ読みかけですが紹介します。
- 作者: 今井むつみ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/10/21
- メディア: 新書
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私たちは、ことばを通して世界を見たり、ものごとを考えたりする。では、異なる言語を話す日本人と外国人では、認識や思考のあり方は異なるのだろうか。「前・後・左・右」のない言語の位置表現、ことばの獲得が子どもの思考に与える影響など、興味深い調査・実験の成果をふんだんに紹介しながら、認知心理学の立場から明らかにする。
あまりない経験ですが、この本はぼくがずっと気になってたことのそのものズバリについて書かれている、と直感しました。目次と序章を見てそう思ったので、すぐレジへ。
- 序章 ことばから見る世界
- 第一章 言語は世界を切り分ける――その多様性
- 第二章 言語が異なれば、認識も異なるか
- 第三章 言語の普遍性を探る
- 第四章 子どもの思考はどう発達するか――ことばを学ぶなかで
- 第五章 ことばは認識にどう影響するか
- 終章 言語と思考――その関わり方の解明へ
本書は「異なる言語の話者は、世界を異なる仕方で見ているか」というこれまでの問いを実験によるデータに基づき、科学の視点から考え直すものである。同時に、ことばの学習が子どもの知識や思考の仕方をどのように変えるのか、ことばの存在あるいはことばの使い方が私たち大人のモノの知覚の仕方、記憶、推論や意思決定にどのような影響を与えるかという発達心理学、認知心理学、脳科学の観点を織り交ぜて、人にとって言語はどのような存在なのか、という問題に対して新たな視点で迫る。
いわゆるサビア=ウォーフ仮説は本当なのか?ということを実際に実験で確認してみる、というのがこの本のポイントです。で、まだ第三章の途中までしか読んでないのですが、「私たちは言語で切り分けた世界そのものを見ているわけではないが、認識は確かに言語に影響を受ける」というあたりが正解のようです。第二章あたりにそのことが書かれている。
第一・二章ではいろんな言語の紹介がされていますが、まぁ奇妙な(ぼくからすればですが)言語があるわあるわ。モノの色を表すことばが2種類しかない言語(強引に訳すと白と黒)や3種類しかない言語(白と赤と青)。前後左右ということばがない言語は、モノ同士の位置関係をすべて東西南北で言うそうです。その言語の話者は方向感覚が非常に良いらしい。それどころか、"前"と"後"しかない言語すら存在し、その言語の話者は鏡像関係にある図形を区別しない!などなど。
第三章でいう言語の普遍性は、あらゆる言語に共通する特徴(主に命名規則について)はあるのか、という話ですが、どうやら「ある」という結論のよう。つまり人間は一定の形式に従ってモノを認識する、世界から切り分ける、ということですね。第四章ではおそらく、ことば無しの思考からことばを伴った思考への切り替わりの過程で何が起こるのかが語られるのでしょう。これも非常に気になるところです。ひさびさに?当たりの本を引いたかな。